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審決例(3条1項3号)-商標登録ドットコム™

「那須山麓」の文字は、単に商品の産地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成11-14854
【審決日】
【事案】
本願商標は、「那須山麓」の文字を横書きしてなり、第29類「乳製品,食用油脂」を指定商品として、平成10年4月1日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、栃木県北東部の酪農産地である『那須山麓』の文字を表してなるから、これを本願指定商品について使用するときは、単に商品の産地を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
本願商標は、「那須山麓」の文字を普通に表した文字のみよりなるものであるところ、その構成中の「山麓」の文字は、「山のふもと、山のすそ」を意味する親しまれた語であり、「那須山麓」もまた栃木県最北部に位置する「那須岳(那須五岳)」より東南部に広がる地域一帯を指し示すものであることは、請求人の否定するところでない。
そして、この地域は、その気候、風土に起因する観光業のみならず農業、酪農業が盛んであることは、当審における顕著な事実である。
してみれば、本願商標は、その指定商品に係る商品の産地(品質)を普通に表したにすぎないものというべく、自他商品識別機能を果たし得ないものというのが相当である。
しかして、商標法第3条の規定の趣旨は、旧商標法第1条第2項の「特別顕著」を具体的に法文に明定した(「逐条解説」特許庁編)ものであり、判例も「商品の品質を表示する名称は、それがすでに一般的に使用されている場合はもとより、そうでなくても将来は一般的に使用されるに至るべき可能性を多分にもつものというべきであり、この可能性を多分にもつものについて商標権の設定を認め、その権利者だけに独占的使用を許すことは相当でないものと考えられるところであって、この意味からして、右のような可能性をもつものについては、永年使用による特別顕著性の認められる場合の外は、その特別顕著性を認めることはできないものといわなければならない。東京高裁昭和36年(行ナ)第192号判決」と判示するところである。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
なお、請求人は、登録例を挙げて述べるところがあるが、上記のとおりであるから、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。


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