主として外国で使用され、それがわが国において、報道、引用された結果、わが国において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標であっても、周知商標であるとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】平成2-3176
【事案】
本件商標は、「ANDERSEN」の欧文字及び「アンダーソン」の片仮名文字を横書き併記してなり、第7類「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法4条1項10号
【審決における判断】
商標法4条1項10号の趣旨は、商品の出所の混同の防止にあるというべきところ、昨今の経済活動の国際的交流の盛んな状況下において、同号所定の「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」とは、わが国において商標として使用された結果「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標だけをいうのでなく、主として外国で使用され、それがわが国において、報道、引用された結果、わが国において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標を含むものと解すべきである。
そして、「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」とは、わが国において、全国民的に認識されていることを必要とするものではなく、その商品の性質上、需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には、その需要者の間に広く認識されていれば足りるのである。
そこで、これを本件についてみるに、認定事実を総合すれば、請求人の製造販売にかかる「木製窓(窓枠を含む。)」が商標「Andersen」の下に、本件商標の出願前である少なくとも昭和55年頃より、被請求人ほかによってわが国に輸入され、販売されていたものであると認定し得るから、本件商標は、その出願の日前より、他人の業務に係る商品を表示するものとして、既に、その需要者の間に広く認識されるに至っていたものと容易に推認でき、これに反する事実はない。
また、請求人の製造、販売に係る「木製枠」「木製2重ガラス窓」等家屋の窓及び窓枠は、本件商標の指定商品「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」の範疇に属する商品であるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項10号に該当する。