「ごまの蠅」の文字は、懐中のスリ又はさぎ等を意味する用語であり、本願商標は公の秩序、善良の風俗を害するおそれがあるとされた事例
【種別】抗告審判(旧法)の審決
【審判番号】昭和29年抗告審判第825号
【事案】
本願商標は、「ごまの蠅」の文字を縦書きしてなり、第43類「菓子及び麺麭の類」を指定商
品とするものである。
【拒絶理由】
商標法(旧法)第2条第1項第4号
【審決における判断】
思うに、本願商標を構成する「ごまの蠅」の文字は、懐中のスリ又はさぎ等を意味する用語で、このような悪徳を嫌悪する社会感情こそ善良の風俗の根源をなすところである。
このような用語を商標として指定商品に使用し、その商品が世上に流布するときは単なる滑稽の度を超え、不徳漢を礼賛し、善良の社会感情を嘲弄(ちょうろう)する如き印象を与え、道義上社会に悪影響を及ぼすおそれがあると認めざるを得ない。
したがって、本願商標は公の秩序、善良の風俗を害するおそれがあると認め、本願商標をその指定商品に使用することは妥当でないから、商標法(旧法)2条1項4号に該当する。