「直江兼続公の前立」の文字と「愛」の文字を配した兜の図形よりなる本願商標は、上杉謙信公とも縁のある上杉神社が所蔵する直江兼続公の甲冑と類似するものであり、上杉神社の承諾を得ず他人が登録し独占的に使用することは公正な競業秩序を乱すため、商標法第4条第1項第7号に該当し、さらに出願人は「2700余に及ぶ会員事業所の当該商品・役務に使用させ、地域振興・産業振興に資するねらいのものである。 」旨主張するのみで、商標を使用することについての証明書類等の提出はされず第3条第1項柱書の要件を具備しないとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2009-16679
【審決日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【事案】
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年8月11日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、原審における同21年4月20日付け及び当審における同年9月9日付け提出の手続補正書により、最終的に、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物・身の回り品及び被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具(但し、金属製金具・水道蛇口用座金・水道蛇口用ワッシャー・キーホルダー・ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー・かばん金具・がま口口金・蹄鉄・カーテン金具・金属代用のプラスチック製締め金具・くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。)・座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。)・錠(電気式又は金属製のものを除く。)・被服用はとめを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

【拒絶理由】
(1)原査定は、「本願商標は、その構成中に、『直江兼続』の文字を有してなるところ、当該文字は、初代米沢藩主上杉景勝に仕えた戦国時代から江戸時代前期にかけての武将の氏名として知られるものである。そして、上記人物は、2009年放映予定のNHK大河ドラマ『天地人』の主人公となっていることも相俟って、上記人物とゆかりの深い新潟県や山形県の一部地域では、当該ドラマの放映に先駆けて観光客の誘致、シンポジウム等様々なイベントが行われ、また、上記人物に因んだ記念品や土産品を販売し、上記人物の氏名をシンボル的に使用していることが、新聞記事からも窺い知ることができる。そうとすると、当該『直江兼継』の氏名を容易に看取できる文字部分を含む本願商標を、同人と何ら関係のあるとも認め難い一出願人が、自己の商標として採択使用することは、商取引の秩序、社会の一般的道徳に照らし、穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(2)本願商標において指定している小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)は、全く業種が異なり、類似の関係にもないものであるため、このような状況の下では、出願人が本願商標をこれらの指定した小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができない。
審判における審尋
当審において、平成22年3月19日付けで、以下のとおりの審尋を発し、期間を指定して、請求人に意見を述べる機会を与えた。
(1)商標法第3条第1項柱書について
請求人(出願人)は、前記1のとおり本願の指定役務を補正し、「20余の会員事業所に使用許諾している」旨主張するのみで、請求人(出願人)又は会員事業所がその業務を行っているか、請求人が近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができないものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本願商標は、別掲(1)のとおり、「直江兼続公の前立」の文字と、前立に図案化された「愛」の文字を配した兜の図形よりなるところ、該図形部分は、図案化された「愛」の文字を前立とした直江兼続公の兜を象徴する図形として認識されるから、該文字部分と該図形部分から、「ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ」の称呼及び「直江兼続(公)の前立」の観念を生ずるものと認められる。
ところで、2009年放送のNHK大河ドラマ「天地人」は、戦国武将上杉景勝公の家臣、直江兼続公(1560-1619年)が主人公であって、直江兼続公が所用したといわれる甲冑は、別掲(2)のとおり、具足と呼ばれる甲冑であるが、兜に図案化された「愛」の文字の前立を有するものである。

そして、直江兼続公の甲冑は、「直江兼続(公)の前立」(ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ)とも呼ばれ、現在、上杉謙信公とも縁のある上杉神社が所蔵するものであることが認められる。
そこで、本願商標と直江兼続公の兜部分を比較すると、両者は、図案化された「愛」の文字部分をはじめ兜部分において顕著な特徴部分を共通にし、酷似しているものであるから、これより生ずる「ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ」の称呼及び「直江兼続(公)の前立」の観念を同じくする類似のものと認められる。
そうとすれば、このような商標を他人と認められる請求人(出願人)に対し、その指定役務について商標登録を認め、独占的に使用させることは商標法制定の趣旨に反し適切でなく、公正な競業秩序を乱すものであり、穏当でないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
なお、本件商標をその指定役務について商標登録を受けることについて上記の上杉神社の承諾を得ていることを証明したときは、この限りではない。
4 審尋に対する意見
請求人は、前記3の審尋に対し、所定の期間を経過するも何ら意見を述べるところがない。
審決における判断
(1)商標法第3条第1項柱書について
請求人(出願人)は、平成21年9月9日付けの審判請求書において、「出願人は、歴史上の人物『直江兼続』ゆかりの地『山形県米沢市』の総合経済団体という公益性の高い法人であって、一営利法人とは全く異なり、本商標の使用を独占しようとするものではなく、2700余に及ぶ会員事業所の当該商品・役務に使用させ、地域振興・産業振興に資するねらいのものである。 」旨主張するのみで、指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについての証明書類等の提出はされていない。
そうすると、本願は、第35類において広範な範囲にわたる役務を指定しているものであるから、このような状況の下では、いまだ、出願人が出願に係る商標をそれらの指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。
したがって、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本願商標は、別掲(1)に示した構成よりなるところ、前記3の審尋に対し、何ら意見等を述べるところがないばかりなく、前記3の審尋において述べたとおり、上記上杉神社の承諾を得ることなく本願商標を他人と認められる請求人(出願人)に対し、その指定役務について商標登録を認め、独占的に使用させることは商標法制定の趣旨に反し適切でなく、公正な競業秩序を乱すものであり、穏当でないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものというべきであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
商標「シャンパンハニージュレ」(第3類)は、「シャンパン」「ハニー」「ジュレ」に分離でき、「Champagne」及び「シャンパン」の語は、フランス北東部の地名であり、また、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する語として広く認識されていることから、本願商標は公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであり、商標法第4条第1項第17号で登録できないとされる「葡萄酒・蒸留酒」以外の商品については第4条第1項第7号「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に含まれるとされ、拒絶された事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2009-18927
【審決日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【事案】
本願商標は、「シャンパンハニージュレ」の文字を標準文字により表してなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年10月3日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における平成21年6月24日付け手続補正書によって補正された結果、第3類「フランス国シャンパーニュ地方で造られる発泡性ぶどう酒を配合した化粧品,フランス国シャンパーニュ地方で造られる発泡性ぶどう酒を配合したせっけん類」となったものである。
【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、『シャンパンハニージュレ』の文字よりなるところ、構成中の『シャンパン』の文字は『シャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒』を意味するものとして一般需要者の間に広く知られているもので、『シャンパンハニージュレ』の語が、常に一体不可分のものとして認識しなければならない事情は認められないから、『シャンパン』の語を含む本願商標をその指定商品に使用するときは、著名な『Champagne』の表示へのただ乗り(フリーライド)及び同表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがあるものといえ、さらに、シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者はもとより、国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めているフランス国民の感情を害するおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがあるというのが相当であり、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
本願商標は、前記1のとおり、「シャンパンハニージュレ」の文字を書してなるところ、その構成中、「シャンパン」の文字は、「フランス北東部シャンパーニュ地方産の発泡ワイン」を意味する語であり、「ハニー」の文字は、「蜂蜜」を意味する語であり、「ジュレ」の文字は、「ゼリー」を意味する語であって(いずれも「コンサイスカタカナ語辞典(株式会社三省堂)」を参照)、それぞれ当該意味合いで一般に親しまれている語であるから、本願商標は、「シャンパン」、「ハニー」、「ジュレ」の各語からなるものと容易に認識させるものである。
そして、「シャンパン」に関しては、以下の事実が認められる。
(1)三省堂2005年10月20日発行「コンサイスカタカナ語辞典(第3版)」の「シャンパン[champagne]」の項には、「発泡ワインの1種.フランス北東部シャンパーニュ地方産の美酒.白ぶどう酒に糖分を加え発酵させ,香料を配し,びん詰にして1年以上貯蔵する.多量の炭酸ガスを含みさわやかな香味をもつ.祝宴に多く用いられる.シャンペンとも.日本では中国名『三鞭酒』を借りてシャンペンと読んでいた.シャンパーニュ地方以外でつくられる発泡ワインはスパークリング-ワインと呼んで区別される.」と記載されている。
(2)岩波書店2008年1月11日発行「広辞苑第六版」の「シャンパン【champagne】」の項には、「発泡性の白葡萄酒。厳密にはフランス北東部シャンパーニュ地方産のものを指す。発酵の際に生じた炭酸ガスを含み、一種爽快な香味がある。」と記載され、同じく「シャンパーニュ【Champagne】」の項には、「フランス北東部、パリ盆地東部の地方(州)。ブドウ栽培・シャンペン製造で知名。中心都市ランス。」と記載されている。
(3)集英社2007年1月1日発行「イミダス2007」の「シャンパーニュ champagne」の項には、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡酒。シャンパンともいう。・・・女性の間で日常のお酒としての人気が急上昇しており、百貨店での売上高が前年比3割前後の増加という伸びを見せている。・・・シャンパーニュという名称はフランスのシャンパーニュ地方で作られたもののみ名乗ることができる。」と記載されている。
(4)柴田書店1982年5月20日発行「新版 世界の酒事典」には、「シャンパン(Champagne)」の見出の下に、「フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワイン.正式の名称をバン・ド・シャンパーニュ(Vin de Champagne)という.世界の各地で、各種のスパークリング・ワインがつくられているが,このうちシャンパンと呼ばれるものは,フランスのシャンパーニュ地方,特にプルミェール・ゾーン(ランス山とマルヌ谷との一等地),ドゥジェーム・ゾーン(マルヌ県のうち一等地以外の村落群)産のスパークリング・ワインにかぎると1911年の法律で定められている.」と記載され、柴田書店1995年8月1日発行「世界酒大事典」にも同様に記載されている。
(5)明治屋本社昭和63年8月1日再版発行「明治屋酒類辞典」には、「Champagne(仏)(英)シャンパン」の見出の下に、「フランスの古い州の名『シャンパーニュ』をとってワインの名に用いたものである。現在『統制された名称』であって,何ら形容詞を付けないで単に『シャンパーニュ』と称する資格を有するのは,マルヌ県の一定地域のブドウを原料にし,その地域内で,『シャンパン法』でつくった『白』スパークリング・ワインである。最高生産量にも制限があって,それを越えた部分には形容詞がつく。」と記載され、また、[統制名称]の見出の下に、「シャンパンは,詳しくは『ヴァン・ド・シャンパーニュ』であるが,『シャンパーニュ』という地名を名乗るには資格がいる。1908年(明治41年)初めて法律ができて,『シャンパーニュ』という名称が『法律上指定された』名となった。」、「要するにシャンパンの条件は(a)シャンパン地区の生産であること。(b)シャンパン法(ビン内で後発酵を行い,発生したガスをビン内に封じ込める)で製造したものであること。(c)白ワインであること。(原料ブドウには黒ブドウと白ブドウとを,メーカーの秘伝の比率で混和するけれど,でき上がりは白ワインである)(d)その年度の最高の生産高に制限があること,の4条件を具えなければならない。」、「戦前,わが国でもシャンパンの名称を乱用した歴史があるが,敗戦の結果,サンフランシスコ講和条約の効果として,マドリッド協定に加入を余儀なくされ,以来フランスの国内法を尊重している。」等と記載されている。
(6)角川書店1990年6月30日発行「世界の酒4 シャンパン」には、その6頁に、「シャンパーニュの丘」の見出の下に「シャンパーニュのワインの歴史に、さらにひとつの栄光のエピソードが加わった。それは発泡性のワインの誕生である。この画期的な発見、発明は、その後の研究者たちの努力によって、発泡性ワイン、シャンパンの名声を、ヨーロッパのみならず世界的なものにしたのであった。」と記載され、8頁に、「シャンパーニュのぶどう畑」との見出の下に「シャンパーニュというのは、この地方の古くからの一般的呼称である。・・・シャンパーニュには、他の産業もいろいろとあるが、何といってもシャンパンで世界的に知られている。」と記載されている。
(7)サントリー株式会社1998年12月1日発行「世界のワインカタログ1999 by Suntory」には、「シャンパーニュ Champagne」の項に、「シャンパーニュ(Champagne)A.O.C.ワイン地域図」としてワイン産地の地図が掲載され、「シャンパーニュ」の見出の下に、「フランスの葡萄産地としては最北部にあたるシャンパーニュは、言うまでもなく、あのシャンパンの産地です。この地でつくられるスパークリングワインのシャンパンは、スパークリングワインの代名詞として使用されるほど、世界で最も有名なワインのひとつです。その名にふさわしく、大変手間のかかる伝統的な手法をかたくなに守り続けて、素晴らしい風味を生み出しています。・・・シャンパン表示のできるものは、このシャンパーニュ地方の指定地域内でとれた黒葡萄のピノ・ノワールとピノ・ムニエ、白葡萄のシャルドネの3種のみから生産され、発泡性をもたせるために瓶内で2回目の発酵を行い、それによって生じた炭酸ガスを瓶内に封じ込める方法でつくられたものに限る、とされています。」と記載されている。
(8)宙(おおぞら)出版1999年「はじめてのシャンパン&シェリー」には、22頁に、「シャンパンの定義」の見出の下に、「シャンパンというと、発泡性ワインの代名詞のようなイメージがありますが、正確には、フランスのシャンパーニュ地方で伝統的な醸造法を用いて造られた発泡性ワインのみを指します。シャンパンの規定は、フランスのワイン法(AOC)で細かく定められています。シャンパーニュ地方で栽培されたブドウを用いること、伝統的なシャンパーニュ方式で製造すること、製造の全工程を指定地域内で行うことなど、さまざまな条件を満たすことが義務付けられています。ほかの国や地域で、シャンパンと同様の製法を用いた発泡性ワインが造られたとしても、それをシャンパンと呼ぶことはできないのです。」と記載されている。また、同132頁及び133頁に、「一目で分かるシャンパンのデータ」の見出の下に、1998年における上位10カ国へのフランスからの国別出荷量等がグラフにより示されており、我が国への出荷量については、イギリス、ドイツ、アメリカ、ベルギー、スイス、イタリアに次いで多く298万本(750ml、以下同じ。)であること及びフランスからの総出荷量は、1993年が22909万本、1998年が29246万本であって、この間ゆるやかに上昇を続けている旨の記載がある。
(9)フランス食品振興会(SOPEXA)1987年発行「フランスのワインとスピリッツ」には、18頁及び19頁に、EC(欧州共同体)の規則に従って、ワインはテーブルワインとV.Q.P.R.D.(指定地域優良ワイン)の2つの等級に分類され、フランスでは、この2つの等級がさらにそれぞれ2分され、(a)A.O.C.(原産地統制名称ワイン)(b)V.D.Q.S.(上質指定ワイン)(c)ヴァン・ド・ペイ(地酒)(d)ヴァン・ド・ペイを除いたテーブルワインの4つに分けられること、V.D.Q.S.(上質指定ワイン)は、原産地名称国立研究所(I.N.A.O.)によって厳しく規制されたものに限られ、製造の条件は法令化されていること、A.O.C.(原産地統制名称ワイン)は、その製造が、V.D.Q.Sワインに適用される規制よりさらに厳格な規則を充たすものでなければならず、原産地、品種、最低アルコール含有度、最大収穫量、栽培法、剪定、醸造法及び場合によっては熟成条件等の規準が決定されていること、原産地域がV.D.Q.Sワインの場合よりさらに厳しく限定されていること、その名称を使用することができるためには、様々な規準に合うように製造され、さらに鑑定試飲会の検査に合格しなければならないことなどが記載され、また、同20頁には、産地別A.O.C.ワイン一覧表中に「シャンパーニュ(CHAMPAGNE)」が記載されている。
(10)1989年6月13日付け日本経済新聞夕刊では、「シャンパン人気急上昇」の見出の下に「結婚披露宴の乾杯用かクリスマス・ディナーの小道具--。これまで限られた出番に甘んじていたシャンパンなど発泡性ワインの人気が急上昇している。」などを内容とする記事があり、「発泡性ワイン輸入量5割増」との見出の下に「現在ではフランスの原産地名称国立研究所(INAO)により、『シャンパン』と名のれるのはその“生誕地”シャンパーニュ地方の発泡性ワインのみと規定されている。」と報道された。
(11)1990年11月16日付け朝日新聞東京朝刊では、「商品の外国地名使用ご用心」の見出の下に「祝賀パーティーの乾杯に欠かせないシャンパンといっても、厳密には『シャンパン』と『スパークリング(発泡性)ワイン』の区別がある。どちらも、泡の立つ白ワインに違いはないが、前者はフランスのシャンパーニュ地方産、後者はそれ以外の国や地域で醸造されたものをさす。・・・欧州共同体(EC)は『スパークリング・ワイン』を勝手に『シャンパン』として売るな、と主張している。」と報道された。
(12)1991年4月27日付け朝日新聞東京夕刊では、「スパークリングワイン 手ごろな値段で楽しめる」の見出の下に「・・・スパークリングワインが最近、人気を集めています。お祝いの席の乾杯の酒から、友人たちといつでも気軽に楽しめる飲み物に変わってきているようです。代表的な銘柄であるシャンパンの高級品は一本数万円しますが、・・・」、「シャンパンはシャンパーニュ地方で、瓶内発酵法によってつくるなど、法律で基準が細かく決まっており、この地方以外でつくられるスパークリングワインをシャンパンと呼ぶのは禁止されている。」と報道された。
(13)1996年11月8日付け日本食糧新聞では、「加州産シャンパン、シャブリ日本での販売中止へ」の見出の下に「シャンパーニュ委員会日本事務所・・・は、シャンパーニュの呼称保護策の一つとして、フランス本国の国立酒類原産地表示規制機構(INAO)と、シャンパーニュ酒造業者委員会(CIVC)の委嘱を受け、日本におけるカリフォルニア産シャンパンの販売中止を、輸入業者へ要請してきた。」と報道された。
(14)2005年9月18日付け朝日新聞東京朝刊では、「シャンパン呼称論争決着 EU・米、20年越し」の見出の下に「仏シャンパーニュ地方産以外の発泡性ワインは『シャンパン』とは名乗らない--。欧州連合(EU)と米国がワインの呼称規制について合意した。伝統の名称を守りたい欧州は、有名ブランドにあやかって売り上げを伸ばした米国と約20年にわたって対立してきたが、ようやく決着した。・・・欧州委員会によると、米国はブルゴーニュ、シャブリ、シャンパン(シャンパーニュ)・・・など地名にちなむ17の名前の使用を制限する。・・・欧州では、生産地やブドウの種類、製法などによって使える名前を法律で定め、ブランド価値を維持している例が多い。だが米国では、安い白ワインを『カリフォルニア・シャブリ』などと名付けて販売するメーカーがあり、欧州側が改善を求めていた。欧州委によると、今後さらに厳格な規定を米・EUで協議するという。」と報道された。
(15)「山梨県ワイン百科」のホームページにおいて、「世界のワイン 2:フランスのワイン」の項に、「(1)・・・4.AOC(原産地統制名称ワイン) フランスワインの約35%を占めるAOCワインは、原産地名がワインの名称となるわけで、1935年に制定された原産地統制名称法(AOC法)によって規制され、INAO(国立原産地名称研究所)によって管理されています。」、「(2)フランスワインの産地(A.O.C)・・・5 シャンパーニュ」との記載がある。
(http://www.pref.yamanashi.jp/wine/world_wine02.html)
(16)「アサヒビール株式会社」のホームページにおいて、「ASAHIWINE.COM」の「今日から使える基礎知識」の項に、「スパークリングワインとは?」の見出しの下、「強発泡性ワインには,フランスの、シャンパン、クレマンやヴァン・ムース・・・などがあり、・・・」との記載や、「シャンパンとは?」の見出しの下、「これらのスパークリングワインは、各々、使用ブドウ品種、産地、製法、貯蔵期間などの面で一定の法的規制を受けています。例えば、シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方の限定された地区で、限定された条件をクリアーして生産されたものだけが名乗れるAOCワインの名称です。強発泡性ワインの中で最も著名なものは、このシャンパンですが、・・・」との記載がある。
(http://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/sparkling/kiso.html)
(17)「楽天市場」のホームページにおいて、「かわばた“セレクト” Champagne シャンパーニュ」の項に、「シャンパンとは?」の見出しの下、「シャンパンとは、シャンパン酒規制と言うフランスの法律で厳格に規定され、その製造規定に従い、シャンパーニュ地方の限定された地域で栽培された、規定されたブドウ品種のみを使用して、瓶内で自然発酵及び熟成をさせたお酒です。」との記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/k-wine/c/0000000717/)
以上の事実によれば、「Champagne」及び「シャンパン」の語は、フランス北東部の地名であり、また、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する語であること、生産地域、製法、生産量など所定の条件を備えたぶどう酒についてだけ使用できるフランスの原産地統制名称であること、シャンパンが発泡性ぶどう酒を代表するほど世界的に著名であること、我が国において数多くの辞典、書籍及び新聞などにおいてシャンパンについての説明がなされていること、シャンパンはフランスの法令によって規定され、その名称の使用も制限されていることなどが認められる。
してみれば、上記事実を総合すると、「Champagne」及び「シャンパン」の語は、我が国において、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして、一般需要者の間に広く知られているというのが相当であり、「Champagne」及び「シャンパン」の名称は、法令に基づきINAOにより保護され、フランス国内外で該名称を保護する活動が行われているといえる。
しかして、本願商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、前述のように、「シャンパン」、「ハニー」、「ジュレ」の各語からなるものとして容易に認識、把握させるものである。
そして、本願商標は、その構成全体をもって特定の意味合いを有する語として知られているものとはいえないのに対し、該構成中の「シャンパン」の文字は、前示のとおり、著名な原産地統制名称であるから、該文字部分が強く看者の印象に残るものというべきであり、他に、本願商標が常に一体不可分のものとしてのみ認識、把握されなければならない特段の事情を見いだせない。
ところで、原産地名称は、商品が産出された土地の地理的名称をいい、地理的名称に限定されること及びその商品の品質、社会的評価、その他の特性が、産出地固有の気候、地味等の自然条件又は産出地の人々が有する伝来の生産技術、経験若しくは文化等の人的条件といった地理的要因に基づくこと等の点において商標とは異なるが、商品の出所表示機能、品質保証機能及び広告機能を有する点において商標と共通しているものである。そうすると、著名な原産地名称の有する前記機能は、法律が許容する限り、著名商標の有するこれらの機能が商標法によって保護されているのと同様に保護されることが望ましいものである。したがって、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、著名な原産地名称を含む表示からなる商標を同法第4条第1項第17号によって商標登録を受けることができないとされているぶどう酒又は蒸留酒以外の商品に使用した場合に、当該表示へのただ乗り(フリーライド)又は当該表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがある等公正な取引秩序を乱すおそれがあると認められるものや国際信義に反すると認められるものも含まれると解すべきである。
以上を総合し、「シャンパン」の語が「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして我が国の一般需要者の間に広く知られているものであること並びにフランスシャンパーニュ地方のぶどう生産者・ぶどう酒製造者が永年その土地の風土を利用して優れた品質の発泡性ぶどう酒の生産に努めてきたこと及びフランスが国内法令を制定し、INAO等が中心となって原産地名称を統制、保護してきた結果、該語よりなる表示の著名性が獲得されたものであることをも併せ考慮すれば、「シャンパン」の文字を含む本願商標をその指定商品に使用するときは、著名な「Champagne」及び「シャンパン」の表示へのただ乗り(フリーライド)及び同表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがあるばかりでなく、シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者はもとより国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めているフランス国民の感情を害するおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるものと判断するのが相当である。
(中略)
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
「昭和大仏」の文字は、宗教法人青龍寺の境内に建立された大日如来座像を示すものであり、無断で出願をした行為は、社会の一般道徳観念に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるため、商標法第4条第1項第7号に該当し無効であるとされた事例
【種別】無効審判の審決
【審判番号】無効昭和60-18883
【審決日】
【事案】
本件商標は、「昭和大仏」の文字よりなり、第20類「家具、畳類、建具、屋内装置品、屋外装置品、記念カップ類、葬祭用具」を指定商品とするものである。

【無効理由】
商標法第4条第1項第7号
審決における判断
よって判断すると、請求人「宗教法人青龍寺」の境内に建立され、昭和59年9月31日に開眼落慶式が挙行されたところの大日如来座像を「昭和大仏」と称するところ、これは、同54年7月1日に建立趣意書が世に発表され、地元(青森県)新聞に掲載され、同57年には全国紙にも報道されるに至ったものとされる。
しかして、被請求人は、本件の商標登録出願をすることにつき請求人の承諾を得たと認めるに足りる資料の提出がない。
ところで、商標法4条1項7号の規定の趣旨は、商標の構成自体がきょう激、卑わいな文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳観念に反するような場合も含まれるものとみるのが相当と解されるところ、被請求人は、請求人に無断で本件の出願をなしたものといえるから、かかる行為は、社会の一般道徳観念に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるものといえる。
したがって、本件商標は、商標法4条1項7号に該当する。
「OldSmuggler」の文字は、密輸者(密輸商人を含む。)、酒類密造者の意味を有する「Smuggler」の文字を服うものであり、自他商品識別の標識としては不穏当であり、結局、本願商標は、商標法4条1項7号に該当するとされた事例
【種別】抗告審判(旧法)の審決
【審判番号】昭和30年抗告審判第15号
【事案】
本願商標は、「OldSmuggler」の文字を横書きしてなり、第39類「ウイスキー、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第7号
審決における判断
よって判断するに、本願商標は、「OldSmuggler」の欧文字よりなるところ、「Old」の文字は洋酒類について当該商品の年数ものの表示として取引上普通に慣用されている用例にすぎないものであることは当庁において顕著な事実であり、また、「Smuggler」の文字が(1)密輸者(密輸商人を含む。)、(2)酒類密造者の意味を有するものであることは辞書をみれば明瞭なところである。そして、「Smuggler」に相当する者は、我が国においては法によりこれを犯罪者として取扱わなければならないことは明らかである。
したがって、この様な用語を商品に使用することは公の秩序を乱すおそれのあるいかがわしい標識であると判断せざるを得ないから、自他商品識別の標識としては不穏当であり、結局、本願商標は、商標法4条1項7号に該当する。
「ごまの蠅」の文字は、懐中のスリ又はさぎ等を意味する用語であり、本願商標は公の秩序、善良の風俗を害するおそれがあるとされた事例
【種別】抗告審判(旧法)の審決
【審判番号】昭和29年抗告審判第825号
【事案】
本願商標は、「ごまの蠅」の文字を縦書きしてなり、第43類「菓子及び麺麭の類」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法(旧法)第2条第1項第4号
審決における判断
思うに、本願商標を構成する「ごまの蠅」の文字は、懐中のスリ又はさぎ等を意味する用語で、このような悪徳を嫌悪する社会感情こそ善良の風俗の根源をなすところである。
このような用語を商標として指定商品に使用し、その商品が世上に流布するときは単なる滑稽の度を超え、不徳漢を礼賛し、善良の社会感情を嘲弄(ちょうろう)する如き印象を与え、道義上社会に悪影響を及ぼすおそれがあると認めざるを得ない。
したがって、本願商標は公の秩序、善良の風俗を害するおそれがあると認め、本願商標をその指定商品に使用することは妥当でないから、商標法(旧法)2条1項4号に該当する。
「ポパイ」の特徴を顕著に表した図形を配した商標は、一見して漫画の「ポパイ」そのものを直ちに認識させ、他人の著名な標章の盗用と推認し、商標法第4条第1項第7号に該当し無効であるとされた事例
【種別】無効審判の審決
【審判番号】無効昭和58-19123
【事案】
本件登録第536992号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に表示した通りの構成よりなり、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装身用『ピン』の類」を指定商品として、昭和33年6月26日登録出願、同34年1月17日登録査定、同34年6月12日に設定登録され有効に存続するものである。
そして、漫画の主人公「ポパイ」が想像上の人物であって、「POPEYE」乃至「ポパイ」なる語は、該主人公以外の何物をも意味しない点を併せ考えると、「POPEYE」「ポパイ」の名称及びキャラクターは、漫画に描かれた主人公として登場される人物像と不可分一体のものとして世人に親しまれてきたものというべきである。
しかして、本件商標は「POPEYE」の文字を上部に、「ポパイ」の文字を下部にそれぞれ横書きし、両文字部分の中間に、水兵帽をかぶって水兵服を着用し、顔をやや左向きにした人物がマドロスパイプをくわえ、錨を描いた左腕を胸に、太い右腕を掲げ、両足を開き伸ばして立った状態に表された「ポパイ」の特徴を顕著に表した図形を配したものであるから、一見して漫画の「ポパイ」そのものを直ちに認識させるものである。

審決における判断
ところで、商標法は不正競争防止と並ぶ競業法であって登録商標に化体された営業者の信用の維持を図ると共に、商標の使用を通じて商品又はサービスに関する取引秩序を維持することが目的とされる。
そして、商標法第4条第1第7号は、前記目的を具現する条項の1つとして「公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある商標は、商標登録することができない」旨を規定しておりその趣旨は、過去の審判決例によれば、その商標の構成自体が矯激、卑猥な文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、その時代に応じた社会通念に従って検討した場合に、当該商標を採択し使用することが社会公共の利益に反し、または社会の一般的道徳観念に反するような場合、あるいは他の法律によってその使用が禁止されている商標、若しくは国際審議に反するような商標である場合も含まれるものとみるものがが相当と解されている。
しかして、前記商標法の目的との関係に則して、同号中に規定されている「公の秩序」の意義について検討するに、「公の秩序」中には、商品又はサービスに関する取引上の秩序が包含されているものとみるのと解すべきである。
しかるところ、本件商標は、前記したとおり漫画の「ポパイ」そのものを直ちに認識されるものであり、その構成内容からみて、請求人等が正当な権利を有して著名となっていた漫画「ポパイ」又はキャラクターとしての「ポパイ」そのものを直ちに認識させるものであり、請求人とが正当な権利を有して著名となっていた漫画「ポパイ」と偶然に一致する標章を採択したものとみることができないばかりでなく、本件商標の登録出願人が、本件商標に係わる登録出願をするにつき、請求人等(著作権者、複製許諾者)より許諾を得た事実を認めることができないものである。したがって、本件商標は前記の漫画「ポパイ」に依拠しこれを模倣又は剽窃して、その登録出願をしたものであると推認し得るものであるといわざるを得ない。
そうとすれば、かかる経緯によって登録を得た本件商標の登録を有効として維持することは、前記「ポパイ漫画」の信用力、顧客吸引力を無償で利用する結果を招来し、客観的に、公正な商品又はサービスに関する取引秩序を維持するという前記法目的に合致しないものといわなければならない。
さらに、近事、諸外国との貿易摩擦が激しさを増すなかで、政府は、「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」を昭和60年7月に決定し、その一環として、外国周知標章のわが国における冒認出願登録等の未然防止が検討課題として取り上げられた結果、特許庁としても、これを重視し積極的に対応することとした「外国標章等の保護に関する処理方針」が設けられた。即ち、その標章(外国標章)が出願商標により先に使用されているものであって、その国(外国)において著名になっているものでもあり出願商標がその標章と構成において同一又は類似のものである場合には、当該出願を他人の著名な標章の盗用と推認し、このような国際審議を損なうような出願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとして拒絶する運用を開始したものである。
加えて、本件商標は、請求人が著作権を有する「ポパイ」の図形と、これと不可分一体のもとして世人に親しまれてきた「POPEYE」及び「ポパイ」の文字を結合してなるものであるから、これを著作権等に無断で使用することは、商標法第29条による規制の対象となるものであり、かつ、著作権法第21条の複製権・同法第112条の差止請求権・同法第119条の侵害とみなす行為等によっても規制されているので、前期商標法第4条第1項第7号の運用指針の1つである「他の法律によって、その使用等が禁止されている商標」に該当するもであると解される。
更に、被請求人は「ポパイ」の名称は、著作物ではないから、これに著作権は及ばない旨を述べている。確かに、「ポパイ」の文字自体は著作物でないが、「POPEYE」ないし「ポパイ」なる語は、著名な漫画の「ポパイ」以外の何ものも意味しないものであって、漫画に描かれた主人公として想起される。「ポパイ」の人物像と不可分一体のものとして世人に親しまれてきたものであり、本件商標が、「ポパイ」の図形を直ちに想起させるものである以上、本件商標の使用にたいして著作権が及ぶことに変わりはない。
「ホワイトハウス」が公序良俗に反する商標であるとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和60-2315
【事案】
「ホワイトハウス」が公序良俗に反する商標(商標法第4条第1項第7号)に該当するか
【拒絶理由】
本願商標は「ホワイトハウス」の文字を書してなるものであるが、これより一般には「アメリカ大統領官邸」を認識させるものであり、これを出願人が商標として採択使用することは穏当を欠くものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
審決における判断
本願商標は、「ホワイトハウス」の片仮名文字を横書きしてなり、第33類「穀物、豆、粉類、飼料、種子類その他の植物および動物で他の類に属しないもの」を指定商品として、昭和57年11月10日に登録出願されたものである。
これに対し、原査定は「本願商法は『ホワイトハウス』の文字を書してなるものであるが、これより一般には『アメリカ大統領官邸』を認識させるものであり、これを出願人が商標として採択使用することは穏当を欠くものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」として本願商標を拒絶したものである。
よって判断するに、「ホワイトハウス」の文字は、アメリカ合衆国大統領の官邸の通称であることは、我が国においても広く知られているところである。
してみれば、本願商標は該官邸の著名な通称を表してなる商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標を一般人が営利の目的において使用することは、該国の権威と尊厳とを損ねるものであり、かつ、国際信義に反するものであるから、これを請求人(出願人)が自己の商標として採択使用することは穏当でないから、本願商標は商標法第4条第1項第7号の規定に該当し、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

