「白書」の文字は中央省庁が編集する政府刊行物の名称に用いられるところ、本願商標「企業市民白書」の文字をたとえば印刷物に使用した場合、これに接する取引者、需要者は政府発行の刊行物であるかの如く、誤認するおそれがあり、商標法4条1項7号に該当するとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成10年(行ケ)第18号
【事案】
本願商標は、「企業市民白書」の文字を横書きしてなり、第26類「印刷物、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第7号
【判決における判断】
ところで、「白書」は、中央省庁が編集する政府刊行物の名称に用いられ、現在においては、政治・経済・社会の実態及び政府の施策の現状について、国民に周知させることを目的とする、報告書的な内容をもつものとして一般国民に認識されているものである。他方、政府刊行物以外の刊行物であって、題号中に「白書」の文字を含む刊行物が、相当数存在しているが、それ等は、小説又は漫画等であって、政府刊行物としての「白書」が扱う分野とは関連に乏しい分野と理解され、政府刊行物としての「白書」ではないと容易に認識できるものである。しかるところ、本願商標は、その構成文字の意味合いからして、審決が「本願商標をたとえば『印刷物』に使用した場合、これに接する取引者、需要者は政府発行の刊行物であるかの如く、誤認するおそれがあり」と認定したことに誤りはない。
したがって、本願商標は商標法4条1項7号に該当する。