「K」「D」の文字の相違があっても、そのような記号又は符号として取引者に受け取られることが十分考えられ、両商標が、時と所を異にして使用された場合、外観の点において相紛らわしく、看者をして彼此混同を生じさせるおそれが十分あるため、両商標は類似するものとされた事例
【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和53年(行ケ)14号
【事案】
本願商標及び引用商標は、下記のとおりの構成よりなり、いずれも第34類「プラスチックス、ゴム、皮革、パルプ、その他の基礎材料で他の類に属しないもの」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第11号
【判決における判断】
よって判断するに、本願商標及び引用商標は、共に黒く塗りつぶしたいわば、矢じり状の図形と、一部肉太にした白抜きの大きい円輪郭とを、前者の穂先部に対しほぼ同一の態様及び大きさ割合をもって組合せ、かつ、該円輪郭内に図案化したローマ字1字を配した構成からなるものであり、視覚上この全体が一体として感受され、しかも経験則によれば、ローマ字1字「K」又は「D」のようなものは、商品の種別、型式等を表示する単なる記号又は符号として取引上認識ないしは随時使用されやすく、識別力の薄いものであることは明らかであり、両商標の「K」「D」の文字にしても、そのような記号又は符号として取引者に受け取られることが十分考えられるから、両商標は、その構図からして特別の事物、事象を表現したものとはいえず、これより特別の称呼、観念を生じないといわなければならない。
してみると、両商標が、時と所を異にして使用された場合、外観の点において相紛らわしく、看者をして彼此混同を生じさせるおそれが十分あるといわなければならない。
したがって、両商標はその外観において類似し、かつ、それぞれの指定商品も同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する。