商標「虎の門」は、東京都港区虎ノ門を認識させる「虎の門」の文字を標準文字で表示してなるものであり、役務の提供場所として地名「虎の門」が普通に採択・使用されているから、これを指定役務に使用しても単に役務の提供の場所を表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服2006-17997
【審決日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【事案】
本願商標は、「虎の門」の文字を標準文字で書してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成17年8月1日に登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、「本願商標は、東京都港区虎ノ門を認識させる「虎の門」の文字を標準文字で表示してなるものであるから、これを本願指定役務に使用しても単に役務の提供の場所を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
審決における判断
本願商標は、前記のとおり「虎の門」の文字を書してなるところ、該文字は、「とらのもん(虎ノ門) 江戸城外郭門の一。芝琴平町に出る口。東京都港区の地名として残る。」(広辞苑第5版)の意味を有する「虎ノ門」を容易に認識させ、地名として知られていることが、下記の新聞記事及びインターネットホームページ情報等により認められる。
また、これらの情報により、虎ノ門周辺には本願の指定役務である飲食物の提供を取り扱う店舗が多数存在し、また、本願指定役務を取り扱う業界において「虎ノ門店」、「虎の門店」のような役務の提供場所であることを表す語として普通に採択、使用されている。
(1)1998年10月1日付け読売新聞 東京夕刊14頁には、[ランチ&ディナー]「鮨金分店」新鮮ネタで1.5倍 満腹感も」の見出しのもと、「官庁街、ビジネス街に近く、5年前のオープン以来、昼夜ともにサラリーマンやOLでにぎわってる。・・・写真=虎の門鮨金分店」との記載がある。
(2)2006年9月19日付け朝日新聞 東京朝刊34頁には、「2年7カ月ぶり「吉牛」吉野家が牛丼の販売再開 客ら拍手・不安の声も」の見出しのもと、「東京都港区の吉野家虎ノ門店には18日、午前11時の開店と同時にシーファー駐日米国大使夫妻が来店。」との記載がある。
(3)2005年5月2日付け 共同通信には、「名古屋フード、続々進出 万博で注目、東京で人気」の見出しのもと、「愛・地球博の開催、中部国際空港の開港で愛知県が注目を集める中、これまで東京でなじみのなかった名古屋オリジナルの食べ物専門店が都内に続々進出、人気を呼んでいる。・・・名物のあんかけスパゲティを提供する「パスタ・デ・ココ港区虎ノ門店」もにぎわう。」との記載がある。
(4)2007年6月8日付け 読売新聞 東京朝刊31頁には、「ビル街に大正の風情残った 木造の老舗そば店、粋な修復 虎ノ門砂場=東京」の見出しのもと、「港区虎ノ門かいわいで、老舗そば店として知られる「虎ノ門砂場」。木造の風情ある店構えは、ビル街の中では異色な存在で、昼時には多くのサラリーマンが足を運ぶ。・・・写真=虎ノ門のビル街にたたずむ「虎ノ門砂場」(工事前、恩田組提供)」との記載がある。
(5)2006年3月17日付け 日本食糧新聞には、「食文化:信州ばかりじゃない蕎麦好きが注目する「山形そば」」の見出しのもと、「ここ数年、「そば帝国・信州」をむこうに回してそば通、そば好きの間で、「山形そば」の評判がすこぶるいい。そこで都内で唯一「山形そば」を看板に掲げている東京・虎ノ門の「出羽香庵」の店長、鏡(かがみ)弘道さんを訪ねてみた。」との記載がある。
(6)「ICYDOG」(http://icydog.com/micmt/htdocs/mt/archives/000522.html)のホームページにおいて、「虎の門 喜よし 今日の午後一から西新橋で会議だったので、久しぶりに虎の門の「喜よし(きよし)」でお昼ご飯。」との記載がある。
(7)口コミによるグルメ・飲食店情報 ぐるなびみんなの口コミ」(http://rk.gnavi.co.jp/kuchikomi/index.php?gShopID=g984601)のホームページにおいて、「麺酎房 赤まる 虎の門店」との記載がある。
(8)「地域ホームページ 虎ノ門 東京 港区」(http://www.yin.me.uk/toranomon/main.php)のホームぺージの「ランチ&ディナー」の欄に、「居酒屋 土間土間 虎ノ門店」、「スエヒロ 虎ノ門店」、「虎ノ門 パストラル あたご」、「虎ノ門 パストラル シルビア」、「北大路 虎ノ門店」、「すぎのこ 虎ノ門店」、「キャッツカフェ 虎ノ門店」等との記載がある。
(9)「Tokyo Selection」のホームページ(http://www.zooom.jp/selection/99/)において、「虎ノ門/フレンチ LE PETIT TONNEAU 虎の門店」との記載がある。
(10)「So Tasty-担々麺」のホームページの「担々麺店情報/虎ノ門」(http://www.tmcreate.com/so-tasty/tantan/tanshop/toranomon.html)において、「津田沼餃子館 虎ノ門店」、「西安刀削麺酒楼 虎の門店」との記載がある。
(11)http://www.geocities.co.jp/Foodpia-Olive/3433/page009.htmlのホームページには、「ラーメン 虎の門店」との記載がある。
(12)2007年4月27日 株式会社リクルートHotPepper銀座編集部発行「Hot Pepper銀座・新橋・虎ノ門・丸の内・日本橋・神田・上野版5月号」、「今月のグルメ特集 春の宴会&パーティーSPECIAL」において、85ページの「エリアグルメMAP」に「新橋・内幸町・虎ノ門・汐留エリアグルメMAP」のように記載され、虎ノ門にある各飲食店が紹介されている。
以上のことからすると、「虎の門」あるいは「虎ノ門」の文字からは、東京都港区在の地名を容易に認識し、役務の提供場所を表したものといわざるを得ない。
ところで、請求人は、商標法第3条第1項第3号の国家名・地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む。)について、「審査基準によると、行政区画名が本号に該当する旨の記載があるが、行政区画とは、「行政機関の権限の及ぶ範囲として定められた区画。都道府県・市町村などの区域。」(大辞林)をいうものであり、それより細かい区画単位の一町名である「虎ノ門」はそれには該当せず、また著名な繁華街や著名な観光地にも該当しないから本号に該当しない旨述べているが、「虎ノ門」は、前記のとおり広辞苑第5版にも記載されているとおり地名として認識されるものであり、上記のように飲食物の提供の場所を表示するものとして普通に採択・使用されているものである。
そして地名等は取引において何人も使用を欲するものであり、自他役務の識別標識としての機能を有するものとはいい難く、特定人に独占させるべきでないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、本願の指定役務の提供場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
また、請求人は、登録例をあげて、本願商標の登録の正当性を主張しているが、登録出願に係る商標が自他商品及び役務の識別力を有するか否かの判断は、指定商品・役務等のそれぞれの取引の実情を考慮し、当該商標の全体の構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであって、登録例に拘束されるものではないから、この点について請求人の主張は採用することはできない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。

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