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「揚子江」の文字は、商品が「長江の下流域にある化学工場において生産された肥料」と理解・認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとされた事例

【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服平成11-3745
【審決日】
【事案】
本願商標は、「揚子江」の文字を横書きしてなり、第1類「肥料」を指定商品として、平成9年9月25日登録出願されたものである。
【拒絶理由】
原査定は、『本願商標は、「揚子江」の文字を普通に用いられる方法で書してなるにすぎないところ、該文字は、「ヤンツーチアン」とも称呼され、武漢等の、長江の流域の局地的な地域名(地理学上では、長江の下流の局地的な名称)であり、武漢(ウーハン)等においては、本願指定商品の工業的生産、取引も行われていること明らかであるから、このような長江下流域の地域名(ヤンツーチアン)を、本願指定商品に使用しても、単に、その商品の生産地または生産地域名、または販売地を表示するものとして直観し認識するに止まり、なんら自他商品を区別する標識としての機能を果たすことができないものと認めるを相当とする。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3項に該当する。』旨認定して、本願を拒絶したものである。
【審決における判断】
よって判断するに、本願商標は、「揚子江」の文字を横書きしてなるところ、原審において認定したとおり、「揚子江」は、「長江の別称であって、中国最大の河川でチベット高原に源を発し、青海、雲南、湖北、湖南、江西、江蘇、などの各省を経て東シナ海に注ぐ。本流域の主要都市は、重慶、宜昌、武漢、九江、鎮江、揚州、南京、上海など。」であり(三省堂編修所編者「コンサイス外国地名事典」株式会社三省堂、1985年12月10日改訂版第1刷発行)、また、その都市の中で特に、「九江」は、「江西省北部の都市。揚子江中流右岸に位置。綿紡績・燐酸肥料工場がある。」(同「コンサイス外国地名事典」)と認められるものである。
してみれば、「揚子江」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、該商品が「長江の下流域にある化学工場において生産された肥料」と理解・認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認められないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1号第3項に該当し、登録することはできない。
なお、請求人は、本願商標が商標法第3条第1号第3項に該当するとしても、使用により識別力を有するにいたったと十分認められるので、商標法第3条第2項に該当すると主張し、その事実を立証するために甲第1号証乃至同第3号証を提出している。
しかしながら、本願商標については前記の判断されること叙上のとおりであり、請求人の提出に係る書証をもってしても、本願商標が商標法第3条第2項に該当する要件を具備するに至ったものとは認めがたいから、同人の主張は採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。


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