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「サラシア」の文字が植物の属を示すものとして学識者や取引者に知られ、査定後に一般需要者の間でも、これを用いた商標の自他識別力は失われるときは、商標法3条1項3号に該当するとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高平成13年(行ケ)574号
【事案】
「サラシア」の文字が植物の属を示すものとして学識者や取引者に知られ、商標法3条1項3号に該当するとされた審決の取り消しを求めた事例。
【拒絶理由】
商標法第3条第1項第3号
【判決における判断】
本件植物の名称「サラシアレティキュラータ、サラシアオブロンガ及びサラシアプリノイデス」は、共通の冠頭部分「サラシア」を有している。そうだとすると、本件植物が、サラシア属として分類され、その結果、学術上のみならず、一般社会においても「サラシア」と称呼されることは、このような場合に一般によくあることに照らして、いかにも生じやすいことということができる。現に認定のとおり、その多くは本件査定後の事実であるとはいえ、(一部には、本件査定前のものもある。)
本件植物は、古くから知られ、海外において、その薬効に関する近代的な研究も積み重ねられ、日本においても、原告が、本件査定に先立ち本件植物の研究をし、論文を作成し公表するまでに至っているたのであり、このことからは、本件査定当時、この分野の学識者はもとより、原告を含めて、この種の健康食品の製造・販売にかかわる取引者の間においても、本件植物は、その名称とともに、知られていたと認めることができる。
上記状況の下では、本件査定当時、「サラシア」の語は、「茶」という商品との関係においては、原材料を示すという意味を有する語であったということができ、本件商標は、商標法3条1項3号に該当するものであったというべきである。
原告は、商標法3条1項3号に該当するためには、「サラシア」の語が「茶」の原材料を示すことが、学識者や取引者のみならず、一般需要者にも知られていることが必要であることを前提に、論を進めている。
しかしながら、少なくとも、本件植物との関係における「サラシア」のように、原材料が何であるかを一般需要者に示すための語として他のものを考えることが困難な語(あるいは、少なくとも、原材料が何であるかを示すのによく適しているといい得る語)については、査定当時、当該語がそのような意味を有するものとして一般需要者に既に知られるに至っていることは、商標法3条1項3号に該当するための要件とはならないというべきである。このような語は、まだ一般需要者に知られていないにせよ、それは、当該語が示す物を用いた商品自体が知られていないがゆえにほかならず、そのような商品が知られるに至れば、これの原材料を示すものとして用いられることにならざるを得ない。このような語に商標権という形で独占権を認めることになれば、当該語を用いた商標の独占の名の下に、当該語の示す物を原材料に用いた商品自体の独占を許すことにもなりかねず、当該語が示す物を原材料とした商品が一般に知られるに至れば、一番需要者の間でも、これを用いた商標の自他識別力は失われ、商標としての当該語の使用は、混乱の原因となることがほとんど必定である。このような結果の発生を事前に防ぐことも、商標法3条1項3号の目的の一つであるというべきである。
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