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商標の類似とは? 類似判断はどのような方法でされますか?

特許庁の指針である商標審査基準に基づき、外観類似、称呼類似、観念類似が総合的に判断されます

商標が類似するということの意味は、ネーミングやロゴなどの商標が類似していて、しかも、指定商品・指定役務が同一・類似である場合です。

類似商標が先に他人によって出願され、登録されてしまうと、商標登録ができません。

なお、商標権侵害などの裁判においては、実際に使用している商標の態様、取引の状況など様々な事実認定と判断が重要視されますので、ここでは、商標登録出願の審査における判断について説明します。

指定商品・指定役務の類似判断

指定商品・指定役務が類似するかどうかは、商標登録出願の審査において重要です。

審査において、指定商品・指定役務が類似するかどうかが重要になるばかりか、商標権侵害かどうかなどが争われる裁判の場においても、商品・役務の類似は重要なポイントとなります。

類似商品・役務審査基準は、特許庁のウェブサイトにおいて確認できます。
類似群コードが同一であれば、類似の商品・役務として扱います。
類似群コードとは、商品・役務のそれぞれに割り振られた、アルファベット+数字のコードです。

区分が異なっていても、商品が類似する場合や、商品と役務との間で類似する場合もあります。

商標審査基準に見る商標の類似判断

文字商標、図形商標などの商標が類似するかどうかは、審査官によって、次のように判断されます。

商標は、現実の商品・サービス取引の実情では、時と所が異なる場面で人々の目に触れるものです。
そこで、2つの商標を同時に対比して観察するよりは、時と所が異なっている状況を想定した離隔的観察により判断されます。

商標と、指定商品・指定役務との関係や、現実の取引の実情を勘案し、需要者の注意力から、誤認や混同をするおそれがあるかどうか等を判断します。

類似商標に関する商標審査基準については、商標法第4条第1項第11号の説明において詳しく掲載しています。

もっと詳しく 先に出願された他人の同一商標・類似商標(商標法第4条第1項第11号)

商標の類似判断の基準

商標が類似するかどうかは、具体的には、商標審査基準に基づき、個別・具体的に審査され判断されます。

1 商標の称呼類否判断

比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに、両商標が特定の観念のない造語であるか否かを考慮し、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、互いに相紛れるおそれがあるか否かによって判断されます。

2 商標の観察方法

商標の類否においては、全体観察のみならず、商標の構成部分の一部を他人の商標と比較して類否を判断される場合があります。
商標の類否は、時と場所を異にする離隔的観察により判断されます。

3 類否判断における注意力の基準

商標の類否は、商標が使用される指定商品・指定役務の主たる需要者層(たとえば、専門的知識を有するか、年齢、性別等の違い)、その他指定商品・指定役務の取引の実情(たとえば、日用品と贅沢品、大衆薬と医療用医薬品などの商品の違い)を考慮し、指定商品又は指定役務の需要者が通常有する注意力を基準として判断されます。

商標の外観類似、称呼類似、観念類似

商標の類否の判断は、商標の有する外観(見た目)、称呼(読み方)及び観念(意味合い)のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならないとされています。

外観類似

外観とは、商標に接する需要者が、視覚を通じて認識する外形をいいます。
商標の外観の類否は、商標に接する需要者に強く印象付けられる両外観を比較するとともに、需要者が、視覚を通じて認識する外観の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察して判断されます。

外観類似の例
犬の図形の類似の例

称呼類似

称呼とは、商標に接する需要者が、取引上自然に認識する音のことをいいます。
商標の称呼の類否は、比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素のそれぞれにおいて、共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに、両商標が称呼され、聴覚されるときに需要者に与える称呼の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察して判断されます。

振り仮名を付した文字商標の称呼については、たとえば、「紅梅/こうばい」と「ベニウメ」は類似するとされます。

結合商標の類否は、商標の各構成部分の結合の強弱の程度を考慮し、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない場合には、その一部だけから称呼、観念が生じうるとして、結合したそれぞれの商標の「部分」についても判断されます。

音声(称呼)のみによって判断するときは、全体の音の数や、母音・子音の類似と相違、音の強弱などの要素を総合的に判断します。

称呼類似の例
松竹梅酒造と松竹梅は類似する

観念類似

観念とは、商標に接する需要者が、取引上自然に想起する意味または意味合いのことをいいます。
たとえば、次のように観念の認定がされます。

商標の観念の類否は、商標構成中の文字や図形等から、需要者が想起する意味または意味合いが、互いにおおむね同一であるか否かを考察して判断されます。

観念類似の例
カブトガニの図形とカブトガニは類似

結合商標の類否判断について

結合商標の類否は、たとえば、次のように判断されます。
ただし、著しく異なった外観、称呼または観念を生ずることが明らかなときは、この限りではありません。

1 識別力を有しない文字を構成中に含む場合

指定商品・指定役務との関係から、普通に使用される文字、慣用される文字、商品の品質、原材料等を表示する文字、若しくは役務の提供の場所、質等を表示する識別力を有しない文字を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似するとされます。

2 需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合

指定商品・指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と、他の文字または図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの、または観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとされます。
ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除きます。

3 識別力のある部分が著しく小さい場合

商標の構成部分中、識別力のある部分が、識別力のない部分に比較して著しく小さく表示された場合であっても、識別力のある部分から称呼、観念を生ずるものとされ、判断されます。

4 商標の一部に識別力がない場合

商標の一部が、それ自体は自他商品・役務の識別力を有しないものであっても、使用により識別力を有するに至った場合は、その識別力を有するに至った部分から称呼、観念を生ずるものとして判断されます。

商標の類似をわかりやすく簡単に、動画で解説

商標審査基準は絶対的な法令ではない

商標審査基準は、あくまでも特許庁という行政の指針であって、法令ではありません。
審査官の審査の便宜のため、そして商標登録出願人の予見可能性のために、一般に公開され、審査の基準とされているものです。

通常の審査ではこれらの基準通りに行われるため、商標調査や出願書類の作成、拒絶理由通知の対応では、商標審査基準をまずは参照して検討や判断をする必要があるでしょう。

ただし、審判、裁判などで争われ、審査基準とは異なる判断がされる場合があります。

もっと詳しく 商標審査基準の効力(判決例)


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