登録された商標の内容を、後から変更することはできますか?
商標の登録内容は、後から変更はできないため、必要であれば新規の登録などを考えるのがよいでしょう
商標を出願したり、あるいは審査を経て登録された後に、実際には少し違う商標を使うことになったりするケースがあります。
ネーミングを少し変えたり、ロゴのデザインを変更したりする場合です。
このようなときはどのように対応したらよいかについて、解説します。
商標の登録内容は、変更できないのが原則
結論から述べてしまうと、登録後になって、登録されている商標の内容を変更することはできません。
特許などの場合には、不明瞭な記載の訂正、特許請求の範囲の減縮などに限って、訂正する手続きがあるのとは異なります。
商標の場合には、商標そのものと、指定商品・指定役務の記載によって権利が明確に定められ、権利になった時点でこうした不明瞭な点はありません。
また、審査を経て登録されたものであるため、登録後に変更すると、審査をした意味がなくなってしまうためです。
権利の一部放棄と、出願人の変更などは可能
複数の区分のうち、一部の区分全体を放棄したり、一部の指定商品・指定役務を放棄したりということは可能です。
商標権の一部抹消という手続きにより行います。
わざわざ権利を一部放棄するということに利益はないように思えますが、他人の商標登録出願との関係で、登録した商標権の一部は使用しないので放棄するといった場合に、この手続きをすることがあります。
一部放棄は、商標の審査を再度する必要がないため、手続きが認められています。
商標権者の変更も、権利の内容そのものには変更がないため、認められます。
譲渡や相続、会社の合併などによる権利者の変更のほか、結婚などによる氏名の変更、会社名の変更、住所の変更などの手続きをすることができます。
商標そのものを変更したときは?
ネーミングを変更したり、ロゴのデザインを変更したような場合には、商標を登録後に変更することは一切認められません。
したがって、変更後の商標についての権利が必要であれば、最初から出願をし直して登録することが必要です。
特に、変更後の商標が、登録した商標と類似しないものである場合、その可能性が強い場合には、細心の注意を払わなければなりません。
そもそも、変更後の商標と、同一か類似の商標がないかどうか、調査をして問題ない場合でないと、安心して使用することもできません。
変更後の商標が、登録した商標と類似しない場合には、新たな商標登録出願をして、早めに登録することが必要です。
登録した商標に、1文字か2文字付け加えただけでも、元の商標とは類似しない商標になってしまうことがあります。
変更後の商標が、登録した商標と類似する場合には、もう少し安心です。
第三者は、登録商標と類似する商標を登録することができないため、変更後の商標を登録されてしまうおそれが少ないためです。
少ないと書いたのは、類似するかどうかは、結局は特許庁の審査しだいなので、微妙なケースがありうるためです。
やはり、新たな商標登録出願をして、登録をしたほうがよいでしょう。
指定商品・指定役務や、区分を追加したいときは?
指定商品・指定役務の追加や、区分の追加をすることも、商標の登録後には一切認められません。
したがって、同じ商標について、これらを追加する権利が必要であれば、その指定商品・指定役務や区分について、最初から出願をし直して登録することが必要です。