商標登録していないとどうなるのですか?
商標登録していないだけで、他人もそれを使わない、登録もしないのであれば、特にどうなるということはありません。
登録していない商標でも、このようなときには使い続けることが可能です。
しかし、商標登録していないと、誰でもその商標を使える状態になっています。
商標登録していないと、誰か他の第三者が特許庁に出願すれば、登録できる状態でもあります。
他人が先に商標登録してしまうと、登録した他人の商標と同一か、類似である場合には、使用できなくなってしまうおそれがあります(商標法第25条、第37条)。
商標権者は、使用差止や、商品や設備の除去を請求することもできるからです(商標法第36条)。
侵害の停止、予防の請求
商標登録をしていなかったときに、他人によって同一商標や、類似商標を登録されてしまうと、商標権者から、商標権侵害だといわれ、侵害の停止や予防を請求される可能性があります。
このため、せっかく作った商品や、カタログ、パッケージ、広告などを廃棄したり、作り直したりしなければならないこともあります。
商標権者、専用使用権者は、侵害の停止や予防の請求とともに、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却、その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができます(商標法第36条)。
また、商標検査に損害が生じていた場合には、損害賠償請求をされるおそれもあります。
取引先などに迷惑がかかることも
取引先に対しても、商標権侵害とされた場合には、侵害品を取り扱ったことによる迷惑をかけてしまう可能性があります。
侵害とされた商品の廃棄などをしなければならない場合など、取引先からの信頼を失っては大変です。
消費者によって、悪い評判が広まるおそれもあります。
商標登録していなくても、登録されなければ使える?
最初に述べたように、しかし、商標登録していないと、誰でもその商標を使える状態になっています。
だから、問題なく使えているので、登録しなくてもいいと考えている人もいるでしょう。
実際、世の中で使用されている商標が、皆、登録されているわけではありません。
模倣品が出回るおそれがあります。
誰も登録していない商標の場合には、誰でも自由に使える状態になっているため、特に商品が売れたりすると、偽物が出回ることが多くなります。
費用をかけて宣伝をして、ヒット商品になるほど、偽物、偽ブランド品が出てくるため、経済的に損失をこうむります。
取引にも不利になるおそれがあります
広告宣伝費や販売管理費を投下しても、偽物が簡単に出回ってしまうのでは、取引先も躊躇するでしょう。
商標登録をしていることが、取引の条件になる場合があります。
特に大手の商社、通販会社、ネットEC大手など、商標登録をしていないと取引できないか、あるいは取引条件が不利になる場合があります。
消費者が本物と偽物をうまく区別できなくなります
商標登録していないと、似た商標が出てきてしまうため、間違えて偽物を購入する人も増えることがあります。
すると自社の売上、利益が減少します。
偽物の品質が悪く、粗悪品であった場合には、本物と勘違いした消費者から、自社の評判が悪くなる可能性があります。
不正競争防止法などにより、偽物を排除できる場合もありますが、仮にできたとしても、商標登録した場合には権利の所在が明確であるのに対し、商標登録していないと、その証明が難しく、時間もかかります。
登録できない商標の場合にはどうする?
普通名称や品質表示など、登録できない商標である場合には、もともと商標登録ができません。
それが理由で、仕方なく登録していない場合もあるでしょう。
こうした場合でも、ロゴなどにすると登録できてしまいます。
しかしデザインした商標にしても、声に出してみると個性のない言葉であるため、普通名称や品質表示などをそのまま商標にしてしまっては、他と区別がつかないために不利です。
個性的、独創的な商標を考えたり、別途マスコットキャラクターを作って宣伝するなど、自社の商品やサービスを区別でき、際立つようにすることが大切です。
商標登録には、他人が登録してしまうリスクを防ぐ意味のほか、模倣を防いで自社の商標を周知させる意味があります。