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商標権は全国一律のものですか?

商標権は、日本国内全域で一律の権利です

商標権は、各国ごとの法律によっても設定される権利です。
日本では商標法によって商標権を得るための手続や要件、商標権の効力などが定められています。

したがって、商標権は、日本の法令の効力が及ぶ全国すべての範囲にわたって、同じ強い効力が認められます。
ひとことでいえば全国一律の権利です。

商標登録は各国で独立

商標登録は、各国の商標法に基づき、それぞれの国の特許庁などの官庁に対し、登録手続きをするもので、それぞれの国ごとに権利が生じます。
各国の商標の制度は、国ごとにやや違いはありますが、条約などによって保護の効力が定められ、一定の保護レベルがされるように国際協力が図られています。

工業所有権の保護に関するパリ条約では、 第6条の商標の登録の条件、各国の商標保護の独立において、
「商標の登録出願及び登録の条件は,各同盟国において国内法令で定める。」
「いずれかの同盟国において正規に登録された商標は、他の同盟国(本国を含む。)において登録された商標から独立したものとする。」
とされています。
権利は国ごとに発生し、手続も各国ごとに定めることとされているのです。

海外でも、商標権は国ごとに設定されるものですが、たとえば欧州の商標制度のように、条約加盟国域内において登録を認める制度もあります。

日本国内での商標権の効力

商標権は、独占的権利であるため、他人の使用を禁止する効力を有します。
また、同一・類似の他人の商標が登録されるのを阻止する効力を有しています。

商標法では、独占権について下記のように規定しています。

(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

この独占権に付随して、下記のように他人の無断使用を差し止める差止請求権のほか、損害賠償請求権についても規定されています。

(差止請求権)
第三十六条 商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

さらに、同一商標のみならず、類似商標の使用を禁止する禁止権についても規定されています。

(侵害とみなす行為)
第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
(後略)

商標権の財産権的側面

商標権は行政処分によって発生する公法的権利であると同時に、設定された商標権には、私権としての財産権的な側面があります。

実際、商標権は企業の財務諸表では無形資産として計上されますし、商標権を譲渡すれば対価を得ることが可能な場合があります。また、相続の対象ともなります。

また、使用許諾いわゆるライセンス契約をすることにより、他人の商標権の使用を許諾することができます。

商標の使用は、商標権者自らがすることもできますし、使用許諾をした使用権者に使ってもらうこともできます。
こうした場合、使用許諾の範囲を決めるのが通例ですが、全国で使用を許可することもできますし、地域ごとに範囲を決めて、それぞれ別の使用権者に使用してもらうこともできます。

商標権の使用許諾

商標権自体は、全国一律の権利ですが、使用許諾にあたっては、使用地域、使用期間、使用態様(商品ジャンル、使用方法など)などの範囲を決めて、許諾することができます。
契約自由の原則によるものです。

なお、使用許諾には、複数の他人の許諾可能な通常使用権と、独占的に許諾する独占的通常使用権、および独占的使用権を特許庁に登録することにより発生する専用使用権があります。


関連ページ:

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商標登録するとどのようなメリットがありますか?
ライセンス契約


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