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商標法とは、どのような法律ですか?

商標法は、特許庁に出願をして独占的な権利を付与する商標の精度を定めた法律で、商標を登録するための手続きに関する手続法であるとともに、権利の内容や効力を定める実体法でもあり、さらに商標権侵害の罰則などが規定されています

商標法の歴史は古く、明治17年6月7日に太政官布告第19号として公布され、同年10月1日より施行された商標条例がはじまりです。
現在の商標法は、昭和34年4月13日法律第127号として制定され、その後幾度も改正されて、今日に至っています。

商標制度は、文字や図形、色彩などから構成される商標を、一定の要件のもとに独占的に保護し、事業者のブランドを保護するとともに、商品やサービスの出所を明示することで需要者の保護も図る制度です。

商標法の目的

商標法第1条では、次のように規定しています。

※なお、条文中、漢数字は英数字に、「もつて」「あつて」等の表記は「もって」「あって」等に直して記載しています。

(目的)第1条

この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

「一定の商標を使用した商品又は役務は一定の出所から提供されるという取引秩序を維持することは、消
費者等の利益を保護することになると同時に、商品及び役務の取引秩序の維持ということを通じて産業の発達にも貢献する」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕」特許庁)という趣旨です。

「商標」の定義

商標法第2条では、用語の定義がされており、「商標」とは下記のものであると定義しています。

(定義)第2条第1項

この法律で「商標」とは、人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であって、次に掲げるものをいう。

1 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
2 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

文字やロゴなどであって、商品・役務(サービス)について使用をするものだということです。

商標の「使用」の定義

商標を使用するとはどういう行為か。
同じ第2条では、この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいうとして、下記のように規定しています。

(定義)第2条第3項

1 商品又は商品の包装に標章を付する行為
2 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
3 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
4 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
5 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
6 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
(以下、略)

「使用」について定義しているのは、商標制度において重要な用語だからです。

商標権者は、指定商品または指定役務について登録商標の使用をする権利を専有します(第25条)。
一方で、普通名称や品質表示などを普通に使用するだけであれば、商標権が存在しても、権利の効力が及ばない(第26条)という規定もあります。

また、指定商品・指定役務について登録商標に類似する商標の使用、指定商品・指定役務に類似する商品・役務について登録商標またはこれに類似する商標の使用は、侵害行為とみなされます。

識別力により登録できない商標

商標法第3条は、識別力がない商標について、登録できないものとしています。

(商標登録の要件)第3条

自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(以下、略)

普通名称、慣用商標、品質表示、その他の識別力がない商標は、要件を満たさないため登録できないこととされています。

「本条は自他商品・自他役務の識別力あるいは出所表示機能というような商標の本質的機能を問題にした、いわば商標登録にあたっての商標としての一般的、普遍的な適格性を問題とする」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕」特許庁)という趣旨です。

なお、当サイトでは、商標法第3条第1項(商標登録の要件・識別力がないとして登録できないものの詳細について解説しています。

公益的・私益的理由により登録できない商標

商標法第4条は、公益的理由、または私益的理由によって、登録できない商標について規定しています。

(商標登録を受けることができない商標)第4条

次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
(以下、略)

第3条に定める「商標としての適格性があることを前提としたうえで、主として公益的見地や私益の保護の立場から、すなわち、政策的な見地から商標を見るのであり、いわば、商標登録にあたっての具体的適格性を問題とする点で差異があろう。ただし、法律的効果としては同じである。」(「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕」特許庁)という趣旨です。

公益的理由としては、国の紋章・記章等と同一・類似の商標や、公序良俗に反する商標などがあげられます。
私益的理由としては、他人の氏名・名称等を含む商標、先に出願された他人の登録商標またはこれに類似する商標などがあげられます。

なお、当サイトでは、商標法第4条第1項(公益的・私益的理由により登録できないものの詳細について解説しています。

商標登録出願の手続

(商標登録出願)第5条

商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
1 商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2 商標登録を受けようとする商標
3 指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分
(以下、略)

特許庁長官は、所定の不備があった場合を除き、商標登録出願に係る願書を提出した日を、商標登録出願の日として認定します(商標法第5条の2)。

(一商標一出願)第6条)

商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。
2 前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければならない。
3 前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。

一商標一出願とは、商標は1件ごとにしなければならないという決まりです。
また、商品、役務の区分にしたがって、指定しなければなりません。

(先願)第8条

同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
(以下、略)

第8条では、先願主義について規定しています。
先に使用したものに権利を与える先使用主義の考え方に対し、わが国の商標制度では先願主義を採用し、世界の主流となっています。
同日に出願があったときは、出願人同士での協議をするなどの規定があります。

出願公開

すべての商標登録出願は、出願公開されます。
出願公開は、商標公報の発行により行われます(商標法第75条)。

(出願公開)第12条の2

特許庁長官は、商標登録出願があったときは、出願公開をしなければならない。

出願公開後に、同一・類似商標の使用をした第三者に対しては、設定の登録前の金銭的請求権があります。
出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、警告後であって商標権の設定の登録前に商標の使用をした者に対し、使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができます(商標法第13条の2)。

特許庁での審査

特許庁長官は、審査官に商標登録出願を審査させなければなりません(商標法第14条)。

(拒絶の査定)第15条

審査官は、商標登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
(以下、略)

第3条、第4条、その他の拒絶理由に該当するときは、拒絶査定となります。
しかしその前に、拒絶理由通知を行って、反論の機会が与えられます。
反論等の手続きによって、登録になることも多くあります。

(拒絶理由の通知)第15条の2

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

(商標登録の査定)第16条

審査官は、政令で定める期間内に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の査定をしなければならない。

商標権の設定

(商標権の設定の登録)第18条

商標権は、設定の登録により発生する。
(以下、略)

商標権の更新登録

(存続期間)第19条

  商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年をもって終了する。
2 商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。
3 商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。

更新登録をすれば、10年ごとに権利が更新され、希望すれば半永久的に商標権を保有することもできます。

商標権の効力

(商標権の効力)第25条

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

商標権の、独占排他権の根拠となる条文です。

なお、専用使用権者、通常使用権者は、いわゆるライセンス契約により使用許諾をした相手のことです。
専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有します(商標法第30条)。独占的なライセンスです。
通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有します(商標法第31条)。こちらは独占的ではなく、いくつものライセンス契約をすることができます。

商標権は、一定の場合には権利行使できない制限があります。
代表的なものが、商標権の効力が及ばない場合についての規定です。

(商標権の効力が及ばない範囲)第26条

商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には、及ばない。
1 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
2 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
(以下、略)

氏名、普通名称、産地、品質などの言葉は、誰もが使用できる言葉であり、本来であれば登録も認められないものだからです。
登録後になって普通名称化するということもあります。

(登録商標等の範囲)第27条

  登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。
2 指定商品又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。
3 第一項の場合においては、第五条第四項の記載及び物件を考慮して、願書に記載した商標の記載の意義を解釈するものとする。

権利範囲に関する規定です。
特許庁長官に、判定を求めることもできます。

商標権侵害

商標権侵害に対しては、商標法に基づく差止請求権のほか、民法第709条(不法行為)に基づく損害賠償請求権があります。

(差止請求権)第36条

  商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

(侵害とみなす行為)第37条

  次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
1 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
2 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為
3 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為
(以下、略)

損害の額を立証することが困難であるため、損害額を推定する規定もあります(商標法第38条)。

登録異議申立

商標登録され、商標公報発行から2か月以内に、異議申立をすることができます。
審査で拒絶理由が見逃されて登録されたと考える場合に、誰でもその取消を求めることができる制度です。

(登録異議の申立て)第43条の2

何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる。

拒絶査定に対する審判

商標登録出願が拒絶査定となったときに、出願人が不服を申し立てる制度もあります。

(拒絶査定に対する審判)第44条

拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができる。
(以下、略)

商標登録の無効審判

また、異議申立の期間経過後も、一定の要件のもとに、登録商標の無効を申し立てる制度もあります。

(商標登録の無効の審判)第46条

商標登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。この場合において、商標登録に係る指定商品又は指定役務が二以上のものについては、指定商品又は指定役務ごとに請求することができる。
(以下、略)

取消審判

さらに、継続して3年以上使用されていない商標を取り消すための審判手続もあります。

(商標登録の取消しの審判)第50条

第五十条 継続し3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

ここに掲げた以外にも、不正使用による取消審判などがあります。

なお、当サイトでは、無効審判・取消審判などの詳細について解説しています。

マドリッド協定の議定書に基づく特例

商標法第七章の二では、マドリッド協定の議定書に基づく特例について規定しています。

第一節の国際登録出願では、マドリッド・プロトコルによる商標の国際登録について規定しています。

(国際登録出願)第68条の2

日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する外国人であって標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書(以下「議定書」という。)第二条(1)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)を受けようとする者は、特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした議定書第二条(2)に規定する出願(以下「国際登録出願」という。)をしなければならない。この場合において、経済産業省令で定める要件に該当するときには、二人以上が共同して国際登録出願をすることができる。

第二節の国際商標登録出願に係る特例では、国際登録の指定国として日本が含まれる場合に、その手続きを日本の商標法に基づき審査、登録に合わせるための規定です。

商標登録表示

商標権者、専用使用権者、通常使用権者は、指定商品やその包装、役務の提供に用いる物などに、その商標が登録商標である旨の表示を付するように努めることとされています(商標法第73条)。

また、登録商標以外の商標の使用をするときに、商標登録表示またはこれと紛らわしい表示を付するような、虚偽行為が禁止されており(商標法第74条)、罰則もあります。

罰則

商標権または専用使用権を侵害した者は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています(商標法第78条)。
侵害とみなされる行為を行った者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています(商標法第78条の2)。

さらに両罰規定として、法人の代表者、法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関し、侵害行為をしたときに、法人に対しては3億円以下の罰金刑があります(第82条)。

商標法を知るための情報源

以上、大まかに商標法の構成と、重要条文について解説してきました。
しかし、団体商標、防護商標など、他にもさまざまな規定があります。

商標法を勉強するための書籍としては、「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕」(特許庁)などがあります。


関連サイト:

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕」 外部サイトへ特許庁
商標法 外部サイトへ

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