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海外の商標・知的財産の模倣問題 -2012年04月01日

先日、たまたま国会中継を見ていたら、中国の商標盗用・模倣の問題、地域ブランド振興の問題がとりあげられていました。

各地域で地域ブランドを振興する取り組みが行われていること、地域ブランド産品について輸出を含めた振興支援策がよりいっそう必要であること、これらに関連する商標を不正に海外で登録されてしまうことへの対策強化の必要性、そしてこれらの取り組みにあたって弁理士の専門的知見を活用すべきことが、かなり長い時間、質問されていました。
弁理士について国会でこれだけ長時間にわたり質疑が行われるのは、珍しいことと思いました。

ただし、大変貴重な意見をいただきました、といった答弁には、今さらのような感じを受けたことも正直なところです。
小泉政権下で知的財産保護強化の取り組みがなされ、知的財産戦略本部が設けられ、近年、これまでにない知的財産保護の施策が行われてきたことは事実です。
海外の模倣品対策、商標の不正登録問題についての対応も、とうに実行の段階になっているはずですが、中国その他のアジア等の地域において特に、日本の商標が不正に登録されたり、著作権侵害が起きたりしている問題は、以前から頻繁に起きてきたことで、いつまでたっても後を絶ちません。

こうした問題に対し、弁理士個人ができることは限られたものです。
弁理士は、社会貢献活動に参加することもあるとはいえ、ボランティアではなく、顧客からの依頼により業務を行うものですが、一事業者の予算、人員だけでは、模倣対策の取り組みにも限界があります。

地域ブランド、地域の商標の問題については、必ずしも全国的には有名でなくとも、その地域では知られているブランドもあります。
したがって、地域の名称保護については、少なくとも都道府県レベルに大幅な権限と予算を与え、中国・アジアなどでの不正登録の監視と、権利を無効にする手続等の支援、正当な権利者による権利取得の取り組みの支援などが行われるべきでしょう。
弁理士は、都道府県レベルでの取り組みに参加するようにすればよいでしょう。

国家レベルでは、外交努力の問題になるかと思います。
たとえば中国に限らず、民間の一個人、一企業が、不正に商標を登録しようとすることは、必ず起きる問題だと思います。
しかし、これを登録してしまうのか否か、また裁判での問題となったときに、国益のみを優先し不当な判決が下されてしまうのか否か、こうした場合に、国際舞台での外交努力が適切に行われれば、自体の悪化を防ぐことができるはずなのです。

たとえば、最低限の保護レベルとしても、中国も知的財産保護のためのパリ条約、WTOのTRIPS協定にも加わっており、商標や地理的表示の国際的保護の条約は、現状でも守らなければいけないことになっているのです。

たとえば、パリ条約6条の2
第6条の2 周知商標の保護
「(1) 同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。1の商標の要部が,そのような広く認識されている他の1の商標の複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣である場合も,同様とする。」

TRIPS協定第22条
「第22条 地理的表示の保護
(1) この協定の適用上,「地理的表示」とは,ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。
(2) 地理的表示に関して,加盟国は,利害関係を有する者に対し次の行為を防止するための法的手段を確保する。
(a) 商品の特定又は提示において,当該商品の地理的原産地について公衆を誤認させるような方法で,当該商品が真正の原産地以外の地理的区域を原産地とするものであることを表示し又は示唆する手段の使用
(b) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争行為を構成する使用
(3) 加盟国は,職権により(国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,地理的表示を含むか又は地理的表示から構成される商標の登録であって,当該地理的表示に係る領域を原産地としない商品についてのものを拒絶し又は無効とする。ただし,当該加盟国において当該商品に係る商標中に当該地理的表示を使用することが,真正の原産地について公衆を誤認させるような場合に限る。」

条約に違反する事案に対しては、条約の遵守を求める外交努力が行われてしかるべきと思います。


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