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小売業の商標登録には、細心の注意を -2007年03月30日
小売業の商標登録が4月1日から受け付けられますが、従来の商標にも増して、はるかに高度な注意が、商標調査と出願書類の記載においては必要になります。
この制度は、様々な商品を販売する小売業・卸売業・通信販売事業者・ネットショップなどの商標を、第35類という1つの区分で小売等役務の商標登録が認めることにより、費用や手続の面で便宜となります。
しかし、たとえばメガネ(第9類)、時計(第14類)、服飾雑貨(第25類)を取り扱う店舗の商標の場合には、第35類の指定役務についてだけではなく、それぞれの商品についての類似商標調査が必要になります。
さらに、第35類の政令別表という、指定役務の記載を説明する表においては、代表的な小売サービスは列挙されているものの、ここにはない独自の記載をしなければならないことが多々あると思われます。
実際、ペット用品の小売業について、指定商品が十数区分にまたがり、商標調査は困難をきわめます。
調査の前に、商品の類似の範囲を定める「類似群コード」という一種の検索キーを特定する作業が大変です。
次に、これら多岐にわたる指定商品を小売または卸売する役務を、出願書類に特定して記載することが、通常の商標登録出願以上に大変です。
取り扱う商品、取り扱い予定の商品を網羅すると共に、出願後になって使用実績または使用意思の確認を求められる可能性もあるため、弁理士のノウハウの蓄積が明暗を分けることもありうると思います。
政令別表に掲載されている指定商品・指定役務にはない、新規あるいは独自の指定商品・指定役務を記載することは、調査と並んで大切なノウハウとなっています。
そこまでしなくてもいいではないかと、弁理士であっても思うかもしれません。
政令別表に掲載されている指定商品・指定役務以外の業務を取り扱わない場合には、それでもいいでしょうし、当事務所でもそのように記載することはあります。
しかし、従来の表にはない商品・役務を取り扱う場合には、新規あるいは独自の指定商品・指定役務を徹底的に記載します。
なぜかといえば、
(1)商標権侵害かどうか、争いが起きることを想定した場合には、権利範囲を特定する指定商品・指定役務の記載が、権利解釈を確定してしまうこと、
(2)指定商品・指定役務の類似範囲を、広く解釈できるようになる余地がありうること、
(3)指定商品・指定役務の区分は、これまで数次の改正がされており、今後の改正によって変動があったときに、権利を広く、正確に特定できるようにしておけること、
これらによって権利を守ると共に、無用な争いの余地を少なくすることに、最善を尽くすことになるためです。