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食品偽装と商標の問題 -2007年08月31日
最近、食品の原材料や産地などに関する不正な表示が問題になっています。
牛肉偽装事件や、有名菓子の賞味期限の問題など、消費者が商品の品質について誤解・誤認をするような表示であり、こうした事件は、消費者保護の観点から許されない問題であると同時に、企業にとっては悪い評判が立つことになります。こうした事案が起きると、マイナスのブランディング効果がきわめて短期間に発生し、その信頼回復は容易ではありません。
ところで、こうした食品の表示の適正化は、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、他のそれぞれの法律で定められているものですが、商品のパッケージや広告に表示されるものは、同時に商標(=その商品であることの識別標識)として機能することがあります。
たとえば、「○○○ビーフ」という商標が使用されていれば、消費者は牛肉製品であると認識して購入することになります。
商標という制度の目的は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」(商標法第1条)です。
そうしますと、需要者の利益を損なう商標は、商標の使用をする者の業務上の信用を損なうこととなり、このような商標を排除することが望ましいといえます。
そこで、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第15号)や、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第16号)は、特許庁の審査において登録されないこととしています。
しかし、商標を登録する際には、実際にどのような商品にその商標を表示するのかを特許庁では判断することはありません。
「○○○ビーフ」という商標を、本当に牛肉製品について使うのかどうか、実際の商品の確認までは行いません。また、偽装表示などについても特許庁が判断することではありません。
そこで、事後的に、商品の品質や役務の質の誤認を生じた場合、あるい又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生じた場合には、その商標登録を取り消すための審判を誰でも請求することができます。
ただし、商標(=その商品であることの識別標識)として使用しているわけではない表示、たとえば商品ラベルの原材料表示、賞味期限日時などは、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、それぞれの法律により罰則等の対象となります。
また、不当な表示が不正競争に当たる場合には、不正競争防止法に違反することもあります。