カテゴリー
事務所通信 | NEWS LETTER | 当サイトのお知らせ | 弁理士業務雑感
商標登録 | 商標豆知識 | 商標あれこれ | 検索してみる
デザイン | ブランドロゴ | マスコットキャラクター | ゆるキャラ
商標登録事務所通信 ≡ 記事一覧
地域ブランドの事例に学ぶ商標マーケティング -2019年11月04日
SNS等のツールを使ったマーケティングが重視される中、商品やブランドのストーリーを生かした宣伝手法があらためて注目されています。
実は、ストーリーを語るマーケティングの手法は、インターネット以前から、ごく普通に行われてきたんですね。
たとえば、寺社の門前に軒を連ねる数百年の伝統の和菓子も、娯楽を兼ねて各地から参拝に訪れる庶民たちが、口々にその美味しさを語り継いできた結果だったりします。
今では、全国各地域の特色を生かした道の駅が、そうした役割を担っているようにも見えます。
地域ブランドはストーリーテリング・マーケティングの事例の宝庫
ストーリーを語るマーケティングの手法は、なにも地方の名産品だけに活用されるものではありません。しかし、地域のブランド事例には参考になるものが多く、学べる点が多いのです。
そもそも地域ブランドとは、広くは各地の名産・特産のブランドのことですが、特許庁による狭い意味合いでは、地域団体商標のことをいいます。
地域団体商標とは、たとえば「夕張メロン」のように、地名+商品の一般名称・や慣用名称など、普通なら商標登録が認められない名称であっても、その地域の農協や商工会その他の団体がメンバーに使用を許可し、一定地域で周知となっている等の条件をクリアした場合に、登録が認められる制度です。
事例1・小豆島オリーブオイル
「小豆島オリーブオイル」は小豆島オリーブ協会の商標で、40近いオリーブ生産者が小型採油機を導入し、搾油した製品です。品種、気象条件、収穫時期などにより味や香りが変わるデリケートなオリーブを、農家が個別に採油機を導入し、創意工夫を重ねることで、100年以上の栽培の歴史を誇る小豆島から、世界的品質のブランドを生み出すまでになりました。
国内外の品評会への出品、受賞製品のPRや著名レストランでの提供、各生産者が競っての商品開発、収穫体験などのイベント開催。さらにはオリーブ牛、オリーブ豚、化粧品への展開など、異業種、他地域をも巻き込んだ活動により、日本のオリーブ生産全体が底上げされるまでになりました。
2019年に入り、初のオリーブオイルの全国サミットや品評会が次々と開催され、国産オリーブオイルが国際的にも高評価を得るまでになっています。
事例2・能登丼
「能登丼」は、能登丼事業協同組合の商標であり、奥能登地域の60以上の飲食店が提供する、ご当地丼です。
能登丼の定義はゆるやかで、奥能登産のコシヒカリと水、地場でとれた旬の魚介類や肉・野菜・伝統保存食を使用したものです。
各店舗を巡っても一つとして同じ能登丼はありません。
しかも「奥能登地域内で調理し、提供する」ことが能登丼を名乗る条件であるため、必然的に、能登丼を味わうためには奥能登に足を運ばなくてはなりません。
毎年、能登丼のパンフレットで各店のメニューを紹介し、全国丼サミットでのPR、北陸新幹線の開業に合わせたメディア展開、航空会社とのタイアップキャンペーンなどを通じて、知名度を向上させてきました。
能登丼としての歴史は2007年頃からと古くはないものの、伝統的な食文化に裏付けられたものでもあります。
事例から学ぶには
地域ブランドは、地域をあげてブランドの名称を使っている、しかも宣伝や販売をした結果、既に有名になっているものであるため、ストーリーを語るマーケティング事例の宝庫であるというわけです。その取り組みを、毎年、特許庁はまとめて紹介しています。
たくさんの事例から学べることも多く、何かしらのヒントを得られると思います。
■参考サイト
地域団体商標案件紹介(特許庁)
地域団体商標ガイドブック2019