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知的財産侵害物品の差止状況　－2020年01月29日

財務省「令和元年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況（詳細）」を見ると、一つ際立った特徴があります。*1

全国の税関での、知的財産侵害物品の輸入差し止め実績で、税関での取り締まりというと、貨物の押収のようなイメージがありますが、輸送形態別では、郵便物での輸入が多くなっています。
特に、輸入点数と比較して、輸入件数では郵便物が圧倒的に多くなり、小口の少量輸入が多数あるということになります。

侵害する権利の種別では、商標権侵害が圧倒的に多く、次いで意匠権や著作権がありますが、
点数ベースでは著作権侵害の割合が増え、物品別ではDVD、CDの海賊版が相当の割合を占めます。
こうした小口の物品が、郵便物で入ってきているということになります。

アリババやamazonなどの、特に小口輸入や個人売買などの中には、模倣品、海賊版が多く紛れ込んでいるといわれ、問題になっています。
また、郵便物での発送では、知的財産侵害物品の多くは、郵便料金が安い中国、香港、韓国、フィリピンなどから輸出されているという事情があります。
トランプ米政権が昨秋、国際郵便のルールを定める万国郵便条約から脱退する方針を発表野にも、このような背景があるわけです。

輸入差止めが多い品目の一例では、DVDドライブ（商標権）、医薬品（商標権）、バッグ（商標権）、帽子（商標権）、記念メダル（商標権）、指輪（商標権）、Tシャツ（著作権）、スマートフォン等のグリップ・スタンド（特許権）、コントローラーカバー（意匠権）などがあります。

この年末年始だけでも、税関への輸入差し止め申立の受理実績は以下のようになります。*2

1月29日株式会社ゴールドウインの商標権について新規申立てを受理しました。
1月28日株式会社ニコンの商標権について品名・侵害理由の追加申立てを受理しました。
1月22日株式会社サザビーリーグの商標権について新規申立てを受理しました。
1月17日ニュージーランド　ラグビー　ユニオン　インコーポレイテッドの商標権について新規申立てを受理しました。
1月15日任天堂株式会社のゲームコントローラに関する特許権について新規申立てを受理しました。
1月9日ダイソン テクノロジー リミテッドの意匠権について新規申立てを受理しました。
12月27日ライン フレンズ コーポレーションの美術「TATA」の著作物について申立てを受理しました。
12月24日シースター株式会社の商標権について新規申立てを受理しました。
12月19日クリスチャン　ルブタンの商標権について新規申立てを受理しました。

*1 出典
財務省「令和元年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況（詳細）」
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2019/20190906a.htm

*2 出典
財務省関税局「知的財産侵害物品の取締り」
https://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/index.htm