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「増税メガネ」「増税クソメガネ」は商標登録できるかについて真面目に考察 -2023年11月01日
「増税メガネ」という言葉が有名になっています。
さらに悪い評判が増えたのか、「増税クソメガネ」という言葉も広く知られているといえるでしょう。
テレビなどでも放送されている言葉のため、日本全国において著名であるとはいえそうです。
商標登録できるかどうかの判断には調査が必要
ところでこの、「増税クソメガネ」という言葉は、ある特定の人を指す言葉として有名になっているようです。
そうすると、その人物と無関係な人が、「増税メガネ」あるいは「増税クソメガネ」という言葉を商標登録することはできるのでしょうか?
真面目に考察してみました。
調査には業務の区分の指定をするのが一般的
ところで、商標登録は、商標を使用する業務の区分を指定して登録するものです。
「増税メガネ」あるいは「増税クソメガネ」という商標を、いったい何に使用するのでしょうか?
メガネのブランド名でしょうか?
あまり売れそうもない感じがします。
あるいはメガネとはまったく関係ない業務で使用することもあるかもしれません。
まずは、商標調査を行います。
区分がわからないため、特に業務の区分は指定せずに、類似商標検索を行います。
類似商標検索結果
「増税メガネ」の、類似商標はありませんでした。
「増税クソメガネ」の、類似商標はありませんでした。
しかし部分的に類似する商標があると、登録できない可能性があります。
そこで「クソメガネ」に類似する商標があるかも調べます。
「クソメガネ」に類似する商標はありませんでした。
「増税」という文字を含む商標もありませんでした。
さまざまな拒絶理由の検討
類似商標がないからといって、商標登録できるとは限りません、
拒絶理由は多数あります。
「増税クソメガネ」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
特定の実在の人物を思い浮かべる人も多いでしょう。
商標法第4条第1項第8号(他人の著名な雅号・芸名等)
すると、商標法第4条第1項第8号の拒絶理由が気にかかります。
他人の著名な雅号、芸名、筆名や、これらの略称は商標登録できないという規定です。
しかし「増税メガネ」は、著名なことは現在では間違いありませんが、雅号、芸名、筆名にあたるでしょうか?
たとえば、ペンネームやニックネームなどですが、雅号、芸名、筆名は、本人が名乗っているものをいうと考えられます。
他人が勝手にあだ名をつけても、それが雅号、芸名、筆名にあたるとはいえないと考えられそうです。
しかし特許庁の審査でどう判断されるかは、なんともいえません。
万一、第三者が勝手に「増税メガネ」を商標登録出願して、特許庁から他人の著名なニックネームであるから登録できないとされたときにも、その本人から承諾書をもらえば、無関係の第三者でも商標登録はできそうです。
どうやって承諾書をもらうかは、難しいかもしれません。
商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)
次に「増税クソメガネ」の方は、クソという言葉が気になります。
公序良俗違反の商標は、商標法第4条第1項第7号により登録されません。
しかし、クソという言葉は、もともとの意味では人間の排泄物の意味で、単なる生理現象的なものですので、公序良俗に反するともいえません。
また、誹謗中傷や罵倒するときに、クソという言葉を使う場合があります。
これが公序良俗違反とまでいえるかは微妙です。
そこで「クソ」という文字を、そのような意味で含む商標の登録例を調査してみました。
なんと、「クソガキ」「クソゲームス」などの商標登録がありました。
登録第6672824号
第9類 洋服、他
登録第6712592号
第9類 業務用テレビゲーム機用プログラム、他
「クソ」を含む商標は、特に公序良俗違反にはあたらず、商標登録できる可能性が高いといえそうです。
調査を終了
結論として、類似商標もなく、他人の雅号、芸名、筆名にあたると判断されなければ、商標登録できるかもしれません。
他人の雅号、芸名、筆名にあたるから登録できないという拒絶理由が来た場合には、その他人から承諾書をもらうことで、登録できるかもしれません。
以上で調査、検討は終了です。
この動画は、商標調査の手順の一例を解説したもので、特にそれ以外の意図はありません。