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「広辞苑[第七版]」10年ぶりの大改訂と商標登録との関係 -2018年01月08日

言葉の百科事典、ともいわれる、岩波書店発行の辞書「広辞苑」が10年ぶりの大改訂、2018年1月12日に出版されます。
広辞苑第七版(岩波書店)
これは、商標登録を考える立場から見ても、商標審査基準などが改訂されるのと似たような意味合いがあります。

当サイトの類似サイトでは、なぜか類似商標調査についての説明はあっても、識別力調査についてきちんと説明していないものが目立ちます。
商標法第3条第1項各号に規定される識別力の有無は、商標登録できるかどうかの判断においてまず第一に考えるべきことであるにもかかわらず、です。
当サイトでは、識別力調査については各所のページにて説明しています。

識別力の有無の判断においては、「広辞苑」(岩波書店)、「大辞林」(三省堂)、 「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などの掲載の有無などが重要な材料になっており、審判や裁判での証拠に採用されたり、審決、判決等で引用されることもしばしばです。
今日では、インターネット検索により、言葉の使用状況や、インターネット辞書における掲載の有無などを調査できるため、以前に比べて重要性は低下したかもしれませんが、依然として「広辞苑」等の辞書などは、識別力調査において重要です。
「広辞苑」が改訂されるように、言葉の使用状況も時とともに変化し、依然は識別力があって商標登録ができたが、今はできないということがごく普通にあります。

今回発売される「広辞苑」第7版は、普通版が9000円(2018年6月30日まで8500円)。
基礎語や日常語から、外来語、専門語、そして新語や地名人名まで、約25万語を収録しています。このうち約1万語が、今回の新規収録分であり、識別力がなく、商標登録できない言葉がそれだけ増えているともいえます。

今回の改訂は、10年前に刊行された第6版からの全面改訂で、それだけ識別力調査にも影響があるといえます。
新語として掲載するかどうかは、新聞、雑誌、放送、インターネット、チラシ、その他での使用例をピックアップするだけではなく、使用例や新語の意味合いなどについて数多くの若者にインタビューしたり、新語として定着したか、あるいは定着せずに一時の流行語として使用されただけであるか等の、地道な作業を経て決定されます。
このような作業を経ているからこそ、特許庁や裁判所でも重視され、審査や裁判にも用いられるのです。

過去の新語の採用では、たとえば、1983年刊行の第三版では、「サラ金」、「カラオケ」、「ディスコ」、「熟年」、「宅配」などが収録されました。
1991年刊行の第四版では、「断トツ」、「丸文字」、「フリーター」、「バブル」などが収録されました。
1998年刊行の第五版では、「茶髪」、「分煙」、「素っぴん」などが収録されました。

今回の第七版では、十分に定着したと判断され収録されることになったのは、「ツイート」、「自撮り」、「エントリーシート」、「クールビズ」、「コスプレ」など。
一方で掲載が見送られたものには、「アラサー」、「アラフォー」、「ググる」、「ゆるキャラ」などがあります。掲載されなかったから識別力があるともいえないものもあり、さらなる識別力調査が必要になります。

岩波書店では、今回収録した新語について、その特徴を下記のようにまとめています。

•明治以降の近代の用例を大幅に増補。文学作品のほか、新聞記事で使われた例も多く収録。
•地震・火山噴火・豪雨などによる自然災害や地球への関心の高まりに応じて、地球科学・気象・海洋関連語を充実。
•宇宙誕生から人類誕生までの研究の進展を反映。
•インターネットやSNSの普及により、日常生活で多用されるようになったIT用語・ネット用語を重視。
•医学・薬剤関係の言葉が検索される機会が増えていることを受けて、病院や薬局でよく耳にする用語を増補。
•遺伝子解析にもとづいた生物の系統関係の見直しに対応。動植物の分類は大幅に見直し、植物では伝統的な旧体系での分類も併記。
•世界遺産、伝統的建造物群保存地区、各地の城郭など、史跡や旅行関係の地名を充実。
•料理・スポーツ・ポピュラー音楽・アニメなど日ごろ身近な分野も重視し、大幅に項目を増補。

第七版は、前回の第六版よりも140ページ増加し、3216ページとなりました。
しかし、厚さは変わることなく、製本機械の限界である厚さ8cmに収まるように、さらに薄い紙を開発しています。従来の紙の厚さは0.05mm、これに対して今回開発された紙の厚さは0.0475mmです。この紙は、製紙会社が「広辞苑」のために開発したものです。新語の誕生が、新しい技術開発をも生み出しているのです。


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