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商標「PYTHON」はたくさん登録されていた、そのことによる問題は? -2019年08月08日

プログラミング言語「Python(パイソン)」の商標登録がされていると、IT関係者の間で話題になっていました。

それで登録の内容を調べてみると・・・。
いくつも「PYTHON」の商標登録がありました。

これによって、プログラミング言語「Python(パイソン)」を使ったプログラムやサービス等での表示に、何か支障が出るでしょうか?
解説記事がいくつも出回っていますが、商標の使用(商標法第2条)の定義や、商標権の効力が及ばない範囲(商標法第26条)について、きちんと解説しているものが、あまり見受けられません。

とりあえず、いくつも登録されていると書いたものを一つずつ見てみましょう。
登録の古い方から。

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1998年の登録です。
カテーテルなど、外科用、医療器具を指定した登録です。

商標権には独占して使用する権利がありますが(商標法第25条)、ここでいう使用とは、指定商品について、

一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

など。
上記の登録では、医療器具やその包装、広告に登録商標を表示することについての独占権があります。あくまでも商品名やブランド名などの商標として表示することの独占権になります。

他人が商標権のある商標を、たとえば商品紹介記事などで記載しても、自分の商標として使用しているわけではありませんから、これは商標権侵害の問題にはなりません。

登録されている商標の指定商品・指定役務と類似しない分野での使用は、もちろん問題ありません。


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次は、2001年の登録になります。
楽器、音さ、調律器などについての登録です。


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さらに次は、2017年の登録です。
不織布、ロール状の不織布についての登録です。


そして今回話題となっている登録です。

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さすがに、第9類の電子計算機用プログラムや、第42類の電子計算機用プログラムの提供などについては登録されていません。

2019080511.jpg

審査記録を見ると、刊行物等提出書が提出されたり、拒絶理由通知が出され、手続補正書などが提出されています。
刊行物等提出書は、第三者が資料を提出するなどして、全部あるいは一部について、登録されないように特許庁に情報提供するためのものです。
審査記録の閲覧請求が何度もされているのも目につきます。

今回登録された指定商品・指定役務

第9類
デジタルフォトフレーム,電気通信機械器具,録画済み又は録音済みのDVD・光ディスク・コンパク
トディスクその他の記録媒体,通信ネットワークを介してダウンロード可能な動画ファイル・音声ファイル・音楽ファイル又は静止画ファイル,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子定期刊行物

第16類
紙類,文房具類,定期的に発行される印刷された教材,定期刊行物,書画,写真,写真立て

第41類
組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供

第42類
デザインの考案(広告に関するものを除く。

今回の登録による影響は?

電子定期刊行物などについて登録されていることを、気にしている方も多いようです。
しかし、雑誌の題号などと同じように、電子定期刊行物の題号についての独占権はありますが、刊行物の中のコンテンツで、第三者がプログラミング言語「Python(パイソン)」についての記述をしたとしても、何ら問題はありません。
その場合は、商標として使用しているわけではなく、しかも著作物の中の内容にすぎないからです。

同様に、教育訓練研修などについて登録されていることを、気にしている方も多いようです。
しかし、研修・セミナーを提供するサービスのブランド名としては独占権がありますが、研修の内容で第三者がプログラミング言語「Python(パイソン)」について取り扱ったり、テキストに記載をしたとしても、何ら問題はありません。
その場合は、商標として使用しているわけではなく、しかも研修や教材の内容にすぎないからです。

指定役務について、商標権者は、
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
などの商標の使用をする独占権はありますが、研修や教材の内容として第三者が使う分には、自分の商標として使用しているわけではありません。

また、商標権の独占権の例外として、商標法第26条では、商標権の効力が及ばない場合、つまり誰でも自由に使っていいケースを列挙しています。

商標権の効力が及ばない場合の一例

二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標

三 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標

四 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標

結論

プログラミング言語「Python(パイソン)」を使用したプログラムやサービス、研修、セミナー、イベント、テキスト、書籍、電子出版物などで、「Python」を使用した場合には、商品の普通名称か慣用されている商標、品質や、役務つまりサービスの質、提供の方法などにあたる場合がほとんどでしょう。
したがって過度な心配は不要です。

心配なケースの場合には、弁理士に相談するのがよいでしょう。

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