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判決例(3条2項):商標の拒絶理由

ローマ字とアラビア数字をハイフンを用いて結合した標章は、被服、電気器具その他の家庭用品に おいて商品の規格、型式等を表す記号として広汎に使用されており、需要者にとっては、きわめて 簡単でありふれたものであり、第3条1項5号に該当するとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和41年(行ケ)第112号
【事案】
第一 当事者の求めた裁判
原告訴訟代理人は、「特許庁が、昭和四一年六月一五日、同庁昭和三八年審判第四二二九号事件についてした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告指定代理人は主文同旨の判決を求めた。

【拒絶理由】
一 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和三七年八月九日、ローマ字WAと数字7とをハイフンでつないで左横書きしたものからなる商標について、特許庁に対し、商標法施行規則第三条別表第一六類「織物、編物、フエルト、その他の布地」を指定商品として商標登録出願をしたが、昭和三八年八月六日拒絶査定を受けたので、同年九月二六日審判を請求し(同年審判第四二二九号)、同年一一月一四日指定商品を第一六類「ポリエステル繊維よりなる織物およびポリエステル繊維を混用してなる織物」に補正した。これに対し特許庁は、昭和四一年六月一五日、「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし、その謄本は同年七月一一日原告に送達された。

二 本件審決理由の要点
本願商標の指定商品に関する取引の実験則に照らせば、ローマ字二字と数字をハイフンをもつて結合したものは、自己の商品中品質または用途に応ずる種別または型式を表示するため取引上普通に使用されているところであるから、本願商品は自他商品甄別標識としての特別顕著性を具備せず、商標法第三条第一項により登録することができないものである。
また、原告(請求人)は、本願商標は原告が昭和三七年六月よりその指定商品に関し広汎に使用した結果、いわゆる使用による顕著性を取得したと主張するが、本願商標が常に「東レ、テトロン」または「Toray TETORON」等原告の商品であることを表彰するものとして極めて著名な商標とともに、これに附加従属して使用されていることに徴すれば、本願商標は「東レ、テトロン」等をもつて表彰される原告の幾多の製品中、単にある種別、すなわち特殊タイプの新製品を表示するために用いられている単なる記号にすぎず、それ自体が原告の商品であることを表彰するに足りる特別顕著性を具備するに至つているとは認められない。したがつて本願商標は商標法第三条第二項所定の登録要件を具備しない。

判決における判断

一、本件の特許庁における手続の経緯、本願商標の構成および本件審決理由の要点が原告主張のとおりであることは当事者間に争いがない。

二、先ず本願商標がそれ自体特別顕著性を有するか否かについて判断する。
本願商標がきわめて簡単でかつありふれた標章のみからなるものであるか否かは、指定商品の需要者を標準として判断すべきであると解するのが相当である。そこで、公知の事実および社会通念に基づいて判断するのに、本願商標の指定商品である織物の需要者は、テーラー(洋服仕立業者)や既製服業者(いずれもデパートの洋服部を含む)等の関係業者のみではなく、一般消費者もまた重要な需要者であるといわねばならない。けだし、一般消費者が洋服生地である織物そのものを買う場合は勿論、洋服の仕立を注文しまたは既製服を買う場合でも、仕立の良否のみならず生地である織物の品質、効能等を吟味したうえ注文しまたは買い受けることが少なくないからである(和服の場合もほぼ同様である。)。ところで、ローマ字一ないし三字とアラビヤ数字一ないし五字を、ハイフンを用いまたは用いずに、結合した標章は、被服、電気器具その他の家庭用品において、商品の規格、型式等を表わす記号として広汎に使用されており、ローマ字および数字の各字数、両者がハイフンで結合されているか否かは、一般消費者の特に注意を払うところではないから、ローマ字二字と数字一字をハイフンをもつて結合した標章は、需要者である一般消費者にとつては、きわめて簡単でありふれたものであると認めるのが相当である。
原告は、織物業界においてはローマ字二字と数字の結合からなる標章を商品の規格、型式等を表示する記号として使用する例はないから、右標章はありふれたものではない旨主張する。しかし、各商品別による取引慣行に明るくない一般消費者にとつては、織物についてローマ字二字と数字の結合からなる標章が使用されていても、特に目新らしいものと感じないことは、前記の被服、電気器具の場合と同様であると認めるのが相当であるのみならず、成立に争いのない乙第四号証、第九ないし第一五号証の各一、二、第一六号証の一ないし三、第一七号証の一ないし四、第一八号証の一ないし六、第一九号証の一ないし四、第二〇号証、第二一号証の一ないし六、第二二号証の一、二、第二三ないし第二六号証によれば、織物業界においても、ローマ字二字と数字一ないし五字を、ハイフンを用いまたは用いないで、結合した標章を、品番と呼称するか否かは別として、商品の規格、型式等を表示する記号として、カタログまたはサンプル(商品見本)に附して使用している例があることは明らかであるから、原告の右主張は採用の限りではない。
したがつて、本願商標は、きわめて簡単でかつありふれた標章のみからなる商標であり、それ自体としては特別顕著性を有しないものであることは明らかである。
なお、成立に争いのない甲第三号証によれば、本願商標と同一構成の商標が原告主張のとおり既に登録されていることが認められるが、この事実は右の判断を左右するものではない。

三、次に本願商標使用による特別顕著性を取得したか否かについて判断する。
成立に争いのない甲第四二号証、大同毛織株式会社製織物の耳マークであることが当事者間に争いがない検甲第一号証、日興毛織株式会社製織物および東亜紡織株式会社製織物の各反末マークであることが当事者間に争いがない検甲第二、第三号証、証人【A】の証言により原告会社製織物の反末マークであることを認める検甲第三号証、証人【A】、【B】の各証言によれば、原告が次のとおり商品に本願商標を附してこれを使用した事実が認められる。すなわち、合成繊維特にポリエステル繊維(原綿)およびその製品の製造販売を業とする原告会社は、昭和三七年六月、主としてウール混紡用の特殊タイプポリエステル繊維を開発し、これに本願商標と同一のWAー7の名称を附して製造販売を開始したのであるが、右特殊タイプポリエステル繊維を毛糸と混紡してなる、主として紳士服地用の織物は、大東紡織株式会社、大同毛織株式会社、日興毛織株式会社、東亜紡織株式会社その他の毛織物の紡績織布業者に右繊維(原綿)を販売して製造させ、レーヨンと混紡してなる、主として学生服、作業服地用の織物は、自らこれを製造した。ところで、前者の織物は昭和三七年約二七五、〇〇〇メートル(ダブル巾。以下同じ。)、同三八年約一、四二七、〇〇〇メートル、同三九年約七五〇、〇〇〇メートル、同四〇年四五五、〇〇〇メートル製造され、後者の織物は昭和三八年一四四、〇〇〇メートル、同三九年四八〇、〇〇〇メートル、同四〇年九六〇、〇〇〇メートル製造された。そして、原告は自らが製造した後者の織物の反末等に本願商標を附したのみならず、他の業者に製造させた前者の織物にも全部その耳、反末または下げ札(タツグ)に本願商標を附けさせたものである。
また、成立に争いのない甲第八ないし第一八号証の各一、二、第一九ないし第二八号証、第二九号証の一ないし三、第三〇ないし第三七号証、第三八号証の一、二、第三九号証、第四〇号証の一、二、第四二号証、第四三号証の一ないし一四、証人【A】の証言によれば、原告は、次のとおり、右特殊タイプポリエステル繊維と毛糸またはレーヨンとの混紡織物(以下本件織物という。)に関する広告に本願商標を附してこれを使用した事実が認められる。すなわち、

 (一) 新聞および雑誌による広告
原告は次の新聞および雑誌に本願商標を用いた本件織物の広告を掲載した。
(1) 一般新聞および雑誌
毎日新聞(昭和三八年九月二六日付東京、中部、大阪、西部各版)、朝日新聞(同年九月二六日付東京、西部各版、同月三〇日付大阪版、同年一〇月二日付名古屋版)、読売新聞(同年九月二六日付大阪版)、中部経済新聞(同年九月二八日付)、日本経済新聞(同年一〇月二二日付および同年一二月一二日付)、文芸春秋(同年一一月号)。
(2) 業界新聞および業界誌
日本毛織新聞(昭和三九年七月一八日付および昭和四〇年八月三日付)、日本繊維新聞(昭和三九年八月二日付、同月七日付および昭和四〇年八月三日付)、繊維小売新聞(昭和三九年八月三日付)、繊研新聞(昭和四〇年八月二日付)、全既商連新聞(同年八月三日付)、「新らしい繊維」(昭和三九年七月号)。
(二) テレビによる広告
原告は日本テレビ系一八局を通じて昭和三八年九月二日午後八時五〇分から九時三〇分までプロ野球実況放送を提供し、右放送中のコマーシヤルにおいて本願商標を用いて本件織物を広告した。
(三) 電飾デイスプレイによる広告
原告は昭和三八年八月二〇日三越本店ほか全国有名デパート六三店、山形屋ほか全国有力テーラー数十店に、本願商標を表わした電飾デイスプレイ一五〇個を配布して、これを展示させた。
(四) パンフレツト類による広告
(1) 「東レテトロンWA―7」
原告は昭和三八年六月四日本件織物の特性等を詳細に解説した右パンフレツト(発行部数三、〇〇〇部)を有力縫製業者、紡績織布業者、有名デパート、「東レサークル」加入小売店等に配布した。
(2) 「東レグラムセブン企画書」および「東レセブンCセブン企画書」
原告は昭和三八年六月四日本願商標を用いて本件織物の特徴を重点的に解説した右小冊子(発行部数各一、二〇〇部)を有力縫製業者全国有名デパート、「東レサークル」加入の小売店に配布した。
(3) 「東レサークル商品シリーズ」五六号
原告は昭和三八年八月二〇日原告の他の製品を併せて本願商標を用いて本件織物を簡単に紹介した右小冊子(発行部数約五、〇〇〇部)を「東レサークル」加入の全国有名小売店三、〇〇〇店に配布した。
(五) 製品発表会による広告
(1) 原告は昭和三八年七月一〇日新大阪ビルにおいて、同月一五日古河ビルにおいて、有力縫製業者五七社を招待して「WA―7」混紡紳士服地内見会を行い、本願商標を用いて本件織物を広告した。
(2) 原告は同年八月二日、三日大阪豊田ビルにおいて、同月九日、一〇日東京産経会館において、同月一九日、二〇日名古屋大証ビルにおいて、それぞれ縫製業者、紡績織布業者、デパート、小売店、報道、服飾関係者等各約五、〇〇〇人を招待し、本願商標を用いて本件織物の発表会を行つた。
(六) ダイレクトメール等による広告
原告は日本紳士服ボランタリーチエーンと共同して昭和三九年九月一〇日から三〇日までの間同チエーン加入の全国有力テーラー五二社の店舗において、同チエーンとのタイアツプ記念セールを行い、その間各テーラーからその顧客に対し、本願商標を用いて本件織物の特性を強調したパンフレツト(約三〇、〇〇〇枚作成)をダイレクトメールにより送付させ、同様のちらし(約二八〇、〇〇〇枚作成)と前記(四)(1)のパンフレツトを配布させた。

以上のとおり認められ、右認定に反する証拠はない。もつとも、前記甲第四二号証には、右に認定した広告以外にも原告が本願商標を用いて本件織物の広告を行つた旨の記載があるが、右証拠だけではその事実を認めるに足りない。
被告は、原告の本願商標の使用は常に「東レ、テトロン」等の著名な原告の登録商標とともにこれに附加従属して使用してきたものであるから、本願商標は使用による特別顕著性を取得したものとはいえない旨主張する。なるほど、前掲各証拠によれば、日興毛織株式会社、東亜紡織株式会社および原告会社製造の本件織物(検甲第二ないし第四号証)に附された場合を除き、原告の本願商標の使用は、「東レ、テトロン」「Toray TETORON」等の原告の製品であることを表彰する著名な商標(登録商標を含む。)と共に使用されていることが認められるが、この事実だけでは、前認定の織物業界においてローマ字二字と数字を結合した標章を商品の規格、型式等を表示する記号として使用する例があることを考慮しても、なお本願商標が使用による特別顕著性を取得し得ないとはいえない。けだし、右の場合でも本願商標の使用の態様、方法等によつては、本願商標が使用による特別顕著性を取得する場合があると解するのが相当であるからである。
原告は、本願商標を「東レ、テトロン」等の商標と共に使用した場合でも、特に本願商標が需要者の興味を惹くような形で使用したのであるから、本願商標は使用による特別顕著性を取得した旨主張する。なるほど、前掲各証拠を検討すれば、前認定の本願商標を前記「東レ、テトロン」等の商標と共に使用した場合でも、大同毛織株式会社製造の本件織物の耳マーク(検甲第一号証)、前記業界新聞および業界誌掲載の広告(昭和三九年七月一八日付日本毛織新聞、同年八月七日付日本繊維新聞および「新しい繊維」掲載の広告を除く。)、「東レサークル商品シリーズ」五六号および「東レセブンCセブン企画書」記載の広告を除けば、原告は一応「東レ、テトロン」等の商標よりも本願商標を強調する形で使用したものと認められる
右認定によれば、本願商標の使用の態様は、前記「東レ、テトロン」等の商標とは別個に使用された場合もあり、前記商標と共に使用された場合でも、特に本願商標を強調する形で使用された場合も少なくないから、前認定の本願商標の使用により、需要者であるテーラー、既製服業者等関係業者にとつては、本願商標は何人かの業務に係る商品であるかを認識することができる商標になつたと認めるのが相当であろう。
しかし、前叙のとおり本願商標の指定商品である織物の需要者は関係業者のみではなく、一般消費者もまた重要な需要者であるところ、前認定の本願商標の使用により、一般消費者にとつても、本願商標が何人かの業務に係る商品であることを認識できる商標となつたか否かは、にわかに決し難い。この点について考えてみるのに、一般消費者が本件織物、特に紳士服地用の毛糸との混紡織物を買い、またはこれを使用して仕立てる洋服を買受けまたは注文する回数は、通常それ程多くないこと(このことは公知の事実である。)、前認定のとおり、前記毛糸との混紡織物の製造数量が昭和三八年をピークとして以後相当急激に減少していること、昭和三七年六月本件織物の製造販売の開始に伴い本願商標の使用が始められてから、本件審決がなされた昭和四一年六月一五日までの間は約四年間に過ぎないことを併せ考えれば、原告がその間継続的かつ独占的に本願商標を本件織物に附して使用していた事実だけでは、仮に関係業者間においては本願商標が原告の商品を表彰するものであることが周知徹底されていたとしても、本願商標が一般消費者において何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになつたとは到底認めることができない
そうだとすると、本願商標のようにきわめて簡単でありふれた標章のみからなる商標を、前記の約四年の間に、一般消費者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものにするには、直接一般消費者に対する広告によるほかなく、しかも広告の氾濫している現代社会においては、その広告は反覆継続して視覚、聴覚に訴え、本願商標を一般消費者の脳裡に浸透させるものであることを要すると解するのが相当である。そこで、前認定の本願商標の使用の態様および前掲各証拠をさらに検討するに、一般消費者に対する広告は、前記(一)(1)の一般新聞雑誌による広告、(二)のテレビによる広告、(三)の電飾デイスプレイによる広告、(六)のダイレクトメール等による広告だけであるところ、(一)(1)の一般新聞雑誌への広告の掲載は、日本経済新聞を除いて各新聞にそれぞれ一回ずつであり、しかもいずれも昭和三八年中に限られていること、(二)のテレビによる広告は昭和三八年中に一回だけ、(三)の電飾デイスプレイによる広告は昭和三八年中に一回で、それが展示されていた期間を明らかにする証拠がないこと、(六)のダイレクトメール等による広告は昭和三九年中に行われたが、実際に配布したちらし等およびダイレクトメールにより送付したパンフレツトの枚数を認めるに足りる証拠がないことが明らかである。これを要するに、本願商標を用いた本件織物の一般消費者に対する広告は、昭和三八年、三九年に断続的に行われたに過ぎず、しかも昭和三九年一〇月以後行われた証拠は全くないから、本願商標に特別顕著性を与えるために要求される前記のような広告の方法とは程遠いものというべきである。
以上のとおりであるから、本件審決がなされた昭和四一年六月一五日当時、本願商標が使用による特別顕著性を取得していたこと、すなわち、それが使用された結果一般消費者を含めた需要者において何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標となつていたものと認めるに足りる証拠は、結局ないものといわねばならない。

四、よつて本件審決には原告主張の違法はないから、その取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却し、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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「アマンド」の文字は、洋菓子の材料となるナッツ類の一種を示すフランス語の「amande」を片仮名文字で表したものであるところ、おそくとも本件審決がなされた昭和57年4月頃までには原告の販売する洋菓子を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者及び一般需要者の間に広く認識されるに至ったものとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和57年(行ケ)第147号
【事案】
本願商標は、下記のとおり「アマンド」の片仮名文字を、牡丹色(ピンク)に赤紫色を混ぜたような色で横書きし、第30類「菓子、パン」として出願した後、商品を「洋菓子」と訂正したものである。

「アマンド」のカタカナ商標

【拒絶理由】
商標法第4条第1項第16号

判決における判断

「アマンド」という語は、洋菓子の材料となるナッツ類の一種を示すフランス語の「amande」を片仮名文字で表したものであるところ、わが国の洋菓子を取扱う業界においては、少なくとも本件審決時当時においてはその意味を表すものとして普通に使用されていたものであること及び同じ洋菓子業界において、「アマンド」の文字は、アマンドを用いた洋菓子を表すものとして、例えばヌガー・アマンドのように使用されていたものである事実を認めることができる。 しかし、本願商標は、おそくとも本件審決がなされた昭和57年4月頃までには原告の販売する洋菓子を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者及び一般需要者の間に広く認識されるに至ったものというべきである。

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「TOKYOROPE」及び「東京ロープ」の文字は、東京の地で生産又は販売されるロープなる観念を生ずるのみで、出所表示の機能を営むに足るものではないと認められるところ、原告会社は東京ロープと略称され、業界で東京ロープといえば、原告会社、原告会社製のワイヤーロープ等を意味するまでになっており、周知著名なものとなっていたとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和37年(行ナ)第4号
【事案】
本件商標は、下記に表示したとおり、「TOKYOROPE」及び「東京ロープ」の文字よりなり、第35類「綱、紐、ロープ、網地、網」を指定商品とするものである。

「TOKYOROPE」及び「東京ロープ」の文字商標

【拒絶理由】
商標法第3条第1項第3号

判決における判断

本件商標のうち、上段の「TOKYOROPE」の部分が、原告会社の商号を英文字で表示した「TOKYO ROPE MANUFACTURING CO.,LTD」の前半分を採った略称であることは明らかであるが、それだけでは、「トウキョウロープ」の称呼を生ずるのみで、下段の「東京ロープ」と称呼上同一であり、前記両者はいずれも、生産地もしくは販売地等の表示としてきわめて普通に用いられる東京なる地名本件商標の指定商品の普通名称ロープ(綱)とを、単に一連に結合して表示したものにすぎず、したがって、前記両者を二段に組み合わせて構成してみても、一般には、東京の地で生産又は販売されるロープなる観念を生ずるのみで、それによって本件商標の指定商品について出所表示の機能を営むに足るものではないといわなければならない。 しかしながら、昭和年代に入ってからは、原告会社は、東京ロープと略称され、業界で東京ロープといえば、原告会社を指すとともに、原告会社製のワイヤーロープ等を意味するまでになっており、また、原告会社の株式は戦前から東京証券取引所第1部に上場されていて、ロープ又は東京ロープと略称されていたこと等の認定の事実によると、原告会社が本件商標の登録出願をした当時およびその登録がされた当時、一般取引界において、「TOKYO ROPE」又は「東京ロープ」と表示すれば原告会社を指すとともに、これを標章として本件商標の指定商品に用いるときは、原告会社の製品であることを示すものとして、周知著名なものとなっていたと認めるのが相当である。 してみれば、原告会社が前記指定商品について、少なくとも「TOKYO ROPE」および「東京ロープ」なる表示を上下2段に組合わせて構成した標章を用いるときは、一般取引界において、それが原告会社の営業にかかる商品であることを判別させるに足る表彰力を有していたというべきである。

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「ミルクドーナツ」の文字は、「ドーナツ」は指定商品の名称、「ミルク」は原材料の一部であることを認めることができ、したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものであるが、本願商標は特定の業者が製造する「ドーナツ」を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者一般需要者間に広く認識されるに至ったものであることを認めることができるとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【訴訟番号】東京高昭和37年(行ナ)第4号
【事案】
本願商標は、「ミルクドーナツ」の文字よりなり、第30類「ドーナツ」を指定商品とするものである。

「ミルクドーナツ」の商標

【拒絶理由】
商標法第4条第1項第16号

判決における判断

ところで、「ミルクドーナツ」の文字よりなる本願商標において、「ドーナツ」は指定商品の名称、「ミルク」は原材料の一部であることを認めることができ、したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものということができる。 しかしながら、原告提出の各証拠および証人の証言ならびに原告代表者尋問の結果を綜合すれば、当時市場には他に本願商標と同じ標章を使用した商品は存在しなかった事情もあって、原告会社の製造する「ドーナツ」の業界における好評判と原告会社の多種多様な手段を用いた宣伝広告の結果、おそくとも本審決がなされた昭和47年3月頃までには、本願商標は特定の業者が製造する「ドーナツ」を示すものとして、東京都を中心に全国にわたって取引者一般需要者間に広く認識されるに至ったものであることを認めることができる。 したがって、本願商標は、商標法3条2項の要件を具備するものである。

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「セロテープ」の文字は、その指定商品である「セロファン製テープ」を暗示するものではあっても、「セロファン製粘着テープ」の商標として自他商品識別機能を失わない程度に広く認識されていたものであって、いわゆる特別顕著性を有していたものとみるのが相当であるとされた事例

【種別】審決取消訴訟の判決
【審判番号】東京高昭和39年(行ナ)第27号
【事案】
本件商標は、下記のとおりの形状構成の、「セロテープ」の片仮名を左横書きしてなり、第50類「セロファン製のテープ」を指定商品とするものである。

「セロテープ」の文字商標

【拒絶理由】
商標法(旧法)第1条第2項

判決における判断

本件商標「セロテープ」は、少なくともその登録時においては、その指定商品である「セロファン製テープ」を暗示するものではあっても、単にその品質・形状を表すに過ぎないものではなく、また、その取引者・需要者間において一般的に普通名称として使用され、認識されていたものではなく、商品である「セロファン製粘着テープ」の商標として自他商品識別機能を失わない程度に広く認識されていたものであって、商標法(旧法)1条2項にいわゆる特別顕著性を有していたものとみるのが相当である。

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