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「いいね!」の登録商標がいっぱいありますね -2012年04月13日

Facebookの「いいね!」ボタンで有名になったものですが、日本では同社によるものでは、LIKE!ボタンの図形商標が出願されています。

「いいね」という言葉自体は普通に使用するものなので、登録されている商標もいろいろ面白いものがあるのではないかと思い、検索してみました。

たくさんありました。

商標登録第4579255号(登録日:2002年6月21日)
「いいね・いいね・いいね」
第25類:被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴

商標登録第5134906号(登録日:2008年5月16日)
「いいね!がいっぱい\日立市」(図形商標)
第41類:技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,図書の貸与,録画済み磁気テープの貸与

Facebookの「いいね!」がたくさんつきそうな商標です。

上記の商標は、出願された時期も古く、Facebookを意識したものではないと思います。

商標登録第5418390号「いいね割」、
商標登録第5441807号「いいね!募金」、
商標登録第5478744号「かわいいね!ボタン」、
などは意識しているかもしれませんが、個別事案についての言及はこのくらいに控えておきたいと思います。

iPhoneのアイコン図形が商標登録されていました -2012年04月02日

下記の図形商標が登録されています。権利者はアップルです。

もともと、アメリカの商標登録に基づき、各国を指定した国際登録を行ったものですが、指定した各国において拒絶査定がされるなどして、日本でもいったんは拒絶査定されたものです。
なお国際登録は、本国での登録に基づき、条約に加盟する各国を指定して、一つの手続きで複数の国への商標登録を行うというものです。

国際登録番号:1042026
国際登録日:2010/5/21
指定国:AU (Australia), CH (Switzerland), CN (China),
EM (European Community), JP (Japan), KR
(Republic of Korea), RU (Russian Federation),
SG (Singapore), TR (Turkey)

国際登録後に各国では登録を認めるかどうかを審査することができ、日本では拒絶査定となりました。
その理由は、
「本願商標は、多少抽象的であるとしても、携帯電話又は記録・整理・伝送・携帯電話のための携帯用デジタル電子機器を表したものと認識されるものであるところ、これを本願指定商品(例えば、携帯電話及び携帯用デジタル電子機器)に使用しても、単に、上記商品の外装を表したものと認識するにとどまり、指定商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3号に該当する。」

つまり指定商品の外装の形状を普通に表示しただけのもので、登録できないということです。

これに対し、2011年5月に、拒絶査定に対する不服審判をアップル社側が請求し、拒絶査定が覆り、2011年11月に拒絶査定が取り消され、登録となったものです。

登録になった理由が次の通りです。
「本願商標は、別掲1のとおり、縦書きの角丸長方形内の中央に縦書きの長方形を配し、当該縦書き長方形の上部に黒塗りの横長楕円、下部に白抜きの円を配した図形よりなるところ、これを本願商標の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、なんらかの器具やその部品を描いたものを想像することがあるとしても、このような抽象的な略図をもって、直ちに商品の品質、形状を具体的に表示したものということはできず、自他商品の識別標識としての機能を有する図形よりなるものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標とはいえない。」

このような抽象的な略図では、商品の形状等を具体的に表示したもの(外装の形状を普通に表示しただけのもの)ではなく、商標として機能するものだということです。

しかし、細部まで具体的に描いた図面のようなものであれば、単なる形状を表示しただけで商標ではないということになりますが、逆にいえば、抽象的な略図だからこそ、アイコンのような図形として使用するときには、第三者は注意しなければなりません。
携帯端末、スマホをアイコン図形にしようとすると、どうしてもある程度は似通った者になりがちであろうと思われるからです。
図形の中のボタンの位置が、iPhoneらしいといえるのでしょう。

この商標登録の日本語訳は、下記のものです。

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)】
第9類
テキスト・データ・音響及びビデオのファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び見直し用の携帯電話並びに携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置のためのあらゆる種類の電子式及び機械式部品及び付属品,電子式ドッキングステーション,移動電話並びに持ち運び可能な及び手持ち式デジタル電子装置の保持専用のスタンド,バッテリーチャージャー,バッテリーパック,電気用のコネクター・電線・ケーブル及びアダプター,携帯式及び手持式のデジタル電子装置の有線及び無線遠隔制御器,ヘッドホーン及びイヤホーン,電気通信機器、すなわちスピーカー,移動電話用のマイクロフォン及びヘッドホン,ホームシアターシステム,ステレオ用の増幅器及びスピーカーを主体とするステーション,カーステレオ用アダプター,オーディオレコーダー,オーディオ用・ビデオ用及び無線用受信機,オーディオ用・ビデオ用及び無線用送信機,ビデオビューワー、すなわち携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のビデオモニター,電子メモリーカード読取装置,保護ケース,全てテキストファイル・データファイル・オーディオファイル及びビデオファイルの記録用・構成用・送信用・操作用及び批評用の移動電話機用並びに携帯用及び手持ち式のデジタル電子装置用のもの,移動電話用並びに他の携帯式及び手持ち式のデジタル電子装置用の相互接続性を実現する様に設計された置き台

海外の商標・知的財産の模倣問題 -2012年04月01日

先日、たまたま国会中継を見ていたら、中国の商標盗用・模倣の問題、地域ブランド振興の問題がとりあげられていました。

各地域で地域ブランドを振興する取り組みが行われていること、地域ブランド産品について輸出を含めた振興支援策がよりいっそう必要であること、これらに関連する商標を不正に海外で登録されてしまうことへの対策強化の必要性、そしてこれらの取り組みにあたって弁理士の専門的知見を活用すべきことが、かなり長い時間、質問されていました。
弁理士について国会でこれだけ長時間にわたり質疑が行われるのは、珍しいことと思いました。

ただし、大変貴重な意見をいただきました、といった答弁には、今さらのような感じを受けたことも正直なところです。
小泉政権下で知的財産保護強化の取り組みがなされ、知的財産戦略本部が設けられ、近年、これまでにない知的財産保護の施策が行われてきたことは事実です。
海外の模倣品対策、商標の不正登録問題についての対応も、とうに実行の段階になっているはずですが、中国その他のアジア等の地域において特に、日本の商標が不正に登録されたり、著作権侵害が起きたりしている問題は、以前から頻繁に起きてきたことで、いつまでたっても後を絶ちません。

こうした問題に対し、弁理士個人ができることは限られたものです。
弁理士は、社会貢献活動に参加することもあるとはいえ、ボランティアではなく、顧客からの依頼により業務を行うものですが、一事業者の予算、人員だけでは、模倣対策の取り組みにも限界があります。

地域ブランド、地域の商標の問題については、必ずしも全国的には有名でなくとも、その地域では知られているブランドもあります。
したがって、地域の名称保護については、少なくとも都道府県レベルに大幅な権限と予算を与え、中国・アジアなどでの不正登録の監視と、権利を無効にする手続等の支援、正当な権利者による権利取得の取り組みの支援などが行われるべきでしょう。
弁理士は、都道府県レベルでの取り組みに参加するようにすればよいでしょう。

国家レベルでは、外交努力の問題になるかと思います。
たとえば中国に限らず、民間の一個人、一企業が、不正に商標を登録しようとすることは、必ず起きる問題だと思います。
しかし、これを登録してしまうのか否か、また裁判での問題となったときに、国益のみを優先し不当な判決が下されてしまうのか否か、こうした場合に、国際舞台での外交努力が適切に行われれば、自体の悪化を防ぐことができるはずなのです。

たとえば、最低限の保護レベルとしても、中国も知的財産保護のためのパリ条約、WTOのTRIPS協定にも加わっており、商標や地理的表示の国際的保護の条約は、現状でも守らなければいけないことになっているのです。

たとえば、パリ条約6条の2
第6条の2 周知商標の保護
「(1) 同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。1の商標の要部が,そのような広く認識されている他の1の商標の複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣である場合も,同様とする。」

TRIPS協定第22条
「第22条 地理的表示の保護
(1) この協定の適用上,「地理的表示」とは,ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。
(2) 地理的表示に関して,加盟国は,利害関係を有する者に対し次の行為を防止するための法的手段を確保する。
(a) 商品の特定又は提示において,当該商品の地理的原産地について公衆を誤認させるような方法で,当該商品が真正の原産地以外の地理的区域を原産地とするものであることを表示し又は示唆する手段の使用
(b) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争行為を構成する使用
(3) 加盟国は,職権により(国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,地理的表示を含むか又は地理的表示から構成される商標の登録であって,当該地理的表示に係る領域を原産地としない商品についてのものを拒絶し又は無効とする。ただし,当該加盟国において当該商品に係る商標中に当該地理的表示を使用することが,真正の原産地について公衆を誤認させるような場合に限る。」

条約に違反する事案に対しては、条約の遵守を求める外交努力が行われてしかるべきと思います。

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