支笏湖チップ(北海道)
「支笏湖チップ」は、サケ科の淡水魚・ヒメマスのことで、アイヌ語ではカバチェッポ(薄い魚)と呼ばれていることから、「チェッポ」がいつしか「チップ」となり、支笏湖の名物となりました。
支笏湖は北海道千歳市にあり、約4万年前の噴火でできたカルデラ湖です。
そのため湖の周囲は、激しい噴火をしたこともある樽前山、風不死岳、紋別岳、恵庭岳などの火山に囲まれています。
水深も最大で約360mと日本で2番目に深く、透明度が抜群に高いことから「支笏湖ブルー」といわれます。

一般社団法人国立公園支笏湖運営協議会 https://zerocarbonpark.lake-shikotsu.jp/
支笏湖のヒメマスは、一生を湖で過ごす湖沼残留型(陸封型)で、主にプランクトンを餌として成長します。
淡水魚特有の臭みがなく、脂の乗った塩焼きや、刺身、フライなどでも食べられる名物となりました。
支笏湖チップとは?
ヒメマスの原産地は、北海道の阿寒湖と、網走川水系のオホーツク海側山中にあるチミケップ湖です。
ベニザケが海へ下らず、湖で一生を過ごす個体群は、湖沼残留型(陸封型)といわれます。
1894年(明治27年)に、奥深い未開の支笏湖にヒメマスが阿寒湖から移植され、支笏湖チップの歴史が始まりました。
移植と同時期に、支笏湖の東側に位置する紋別岳から流れ込むシリセツナイ川の、湖水に注ぐ河口付近にヒメマス孵化場が設立されました。
以後、支笏湖チップの孵化増殖事業が行われるようになり、現在では各地の湖沼に発眼卵を出荷するまでになっています。
支笏湖チップ(ヒメマス)は、全長は4年魚で25cmから35cm前後となり、産卵期である9月下旬から11月にかけて、オスはベニザケのような紅色の婚姻色となります。
孵化増殖事業を継承して設立された支笏湖漁業協同組合では、産卵期の支笏湖チップの捕獲、採卵を行い、シリセツナイ川の湧水で稚魚を育て、春になってから支笏湖に放流する事業を行ってきました。
支笏湖では、初夏から夏にヒメマス釣りが解禁され、湖畔の飲食店や宿泊施設では、支笏湖チップの塩焼きや刺身が提供されるなど、支笏湖観光に活用されています。
支笏湖チップの釣りと食

支笏湖漁業協同組合 https://shikotsuko-gyokyo.org/aboutchip/
支笏湖でのヒメマスの解禁期間は、6月~8月です。
食材としての旬もこの時期で、刺身、ルイベ、塩焼きなどで食べられています。
支笏湖チップ釣りは、エサ釣りではイクラ・エビ・紅サシなどを使い、主にボートからの釣りとなります。
岸からもルアー(疑似餌)を投げるなどして狙うことができますが、一定の深さにいるためボートが有利です。
ヒメマス用のキラキラと光る疑似餌の仕掛けをボートで引いて狙うレイクトローリングでの釣りも人気です。
「支笏湖チップ」は、一本釣りで釣りあげた天然物を、支笏湖漁業協同組合が販売しています。
人気商品は、支笏湖チップ 飯寿司や、麹で付け込んだ「支笏湖チップ切り込み」、ヒメマスの身を燻して仕上げた「支笏湖チップとば」、「支笏湖チップ 燻製」、一匹丸ごとを干した「支笏湖チップ 一夜干し・熟成干し」などで、、いずれも人気です。
支笏湖チップを使った魚醤も製造し、販売しています。

支笏湖漁業協同組合 https://shikotsuko-gyokyo.org/aboutproduct/
地域団体商標「支笏湖チップ」
登録第6818943号
登録日:令和6(2024)年 6月 28日
商標:支笏湖チップ

権利者:支笏湖漁業協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第29類 支笏湖産のヒメマス
支笏湖漁業協同組合の取り組み
支笏湖漁業協同組合は、支笏湖の漁業を管理し、ヒメマスの増殖事業を行うため、2007年(平成19年)に設立され、2008年に共同漁業権免許の取得と遊漁規則の認可がされた、新しい歴史を持つ漁協です。
国の独立行政法人さけ・ます資源管理センター、そして北海道千歳市に移管された孵化増殖事業を受け継いで設立されたためです。
支笏湖と、千歳川のうち支笏湖湖口から滝の上えん堤の区域を管理しています。
支笏湖でのヒメマス増殖事業は1894年(明治27年)から120年以上も受け継がれてきましたが、近年は安定した放流事業が行われ、支笏湖漁業協同組合が孵化増殖事業に取り組んでいます。
支笏湖チップ増殖は、産卵のために川に戻ってきた4年魚を中心に捕獲し、池に話して採卵時期を待ちます。
産卵期を迎えた雌のヒメマスの卵を採取し、受精させた後に「発眼卵」となるよう管理します。
「発眼卵」は、支笏湖に放流する稚魚に育てられるほか、支笏湖以外の全国各地に放流するために出荷されます。
発眼卵は、細心の注意が払われて管理され、 受精からおよそ85日を経過すると孵化していきます。
孵化した稚魚たちは、最初はおなかに栄養が入った袋をもち、やがて自ら餌を求める段階にまで育てられ、外池に移される頃には5cm前後になります。
支笏湖に放流されたヒメマスは、資源動向の把握と保護のため、継続的に調査研究が行われています。
現在では安定的にヒメマスの個体数を管理でき、 支笏湖で育ったヒメマスの卵を全国各地に分けて増殖できるまでになっています。

支笏湖漁業協同組合 https://shikotsuko-gyokyo.org/aboutchip/
支笏湖漁業協同組合は、支笏洞爺国立公園の環境保護の一翼も担っています。
一般社団法人国立公園支笏湖運営協議会、一般社団法人千歳観光連盟と協力して、釣り体験プログラム、食文化体験のほか、体験学習型の観光ツアーの実施に参加しています。
支笏湖環境の学習、湖畔ウォーキング、境調査体験などを組み込んだ環境学習プログラムや、支笏湖チップの学習、養殖施設見学、稚魚放流体験などを組み込んだ放流体験プログラムを実施しています。

