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下関ふく(山口県)
全国に下関といえばフグ(河豚)が名物として名を知られていますが、下関では河豚のことを「ふく」といいます。ふくは福につながる、毒の処理した身をさらしに巻いて一晩寝かせ刺身を引くので「布久」という、等のいろいろな説があります。
ふぐを水槽で生かし、身の締め方、独特の身欠き(さばき)方など、永年伝えられてきた技術が、今も河豚の一大集積地として他を寄せ付けず、南風泊魚市場で水揚げし、身欠きにされたふぐを「下関ふく」と称します。
日本国内に流通するトラフグのうち、天然物はわずか1割ほど。
フグ漁は、主に一本釣や延縄による釣り漁と、底曳網、定置網、刺網を使った漁とにより行われるています。特に高級とされるトラフグは、底延縄漁によって捕獲されることが多く、延縄による漁法は、明治10年頃に山口県の粭島(すくもしま)に伝わったとされます。天然物のトラフグでは、粭島から大分県の姫島にかけて捕れるものが、最高級品とされます。
下関は、日本で水揚げされる天然のトラフグやクサフグなどの、8割近くが集まります。実は、下関の天然トラフグの約6割は、遠州灘沖で漁獲されたものです。浜松市内の舞阪漁港で大量に水揚げされるようになっています。長崎県や熊本県で主に生産される、養殖されたトラフグの多くも集まる、フグの一大集積地です。下関に集まったフグはここで毒を持つ内臓部分を除去する等の加工がされ、消費地へと運ばれていきます。特に下関の唐戸魚市場は、1933年(昭和8年)に開設されたフグの取引所として知られ、大型船が接岸できる南風泊(はえどまり)市場は、日本最大のフグ取り扱い市場として知られます。
山口県、大阪府など西日本を中心にフグ料理は作り上げられ、全国に広まりました。フグの本場とされる山口県、北九州地方などでは「ふく料理」、大阪などでは「テッポウ料理」あるいは「テツ料理」などとも呼ばれます。
フグはその内臓などに毒をもつため、調理には資格が必要です。
ふぐ刺しは、フグの身の刺身のことで、ふぐ引き包丁と呼ばれる特殊な包丁を使用します。
ふぐ鍋は、魚の切り身鍋を指す「ちり」をつけて「ふぐちり」とも呼ばれ、関西ではテッチリとも呼ばれます。鍋の後に、塩で味を調整しご飯を入れて煮立たせると、ふぐ雑炊となります。
ふぐの唐揚げも定番の料理です。
ふぐの白子焼き、白子揚げ、煮凝りなども、一品料理として出されます。
ふぐのひれ酒、ふぐのヒレの部分を干物に加工し、火で炙ったものを熱燗入れたものです。
下関唐戸魚市場仲卸協同組合が作った「下関ふく」マークは、2004年に商標登録されました。
商標登録第4739572号
登録日:平成16年(2004)1月9日
出願番号:商願2003-37906
出願日:平成15年(2003)5月9日
商標
権利者:下関唐戸魚市場仲卸協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第29類:下関産ふぐ(生きているものを除く。),下関産ふぐを原材料とした加工水産物,下関産ふぐを原材料としたお茶漬けのり,下関産ふぐを原材料としたふりかけ,下関産ふぐを原材料としたなめ物
第31類:下関産ふぐ(生きているものに限る。)
このマークは、南風泊市場で水揚げされ、組合員が取り扱うフグとその加工品だけに認められる印で、シールにして付されます。
【地域団体商標】
商標登録第5174640号
登録日:平成20年(2008)10月17日
出願番号:商願2007-101872
出願日:平成19年(2007)9月30日
商標:下関ふく
権利者:下関唐戸魚市場仲卸協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第29類:山口県下関市南風泊で水揚げされて身欠き処理されたとらふぐ(生きているものを除く。)
大山ブロッコリー(鳥取県)
鳥取県にある大山は、富士山のような姿形の美しい山で、古来から日本四名山の一つに数えられています。
大山にはブナの原生林があり、その麓にはほくほくの黒ぼく畑が広がっており、そこでブロッコリーが育っています。
ブロッコリーは全国で栽培されていますが、鳥取県の大山町を中心とする鳥取西部一円で大山の懐に抱かれて育ったブロッコリーを、地元では大山ブロッコリーと呼んでいます。
大山町のブロッコリーは、1970年代から栽培が始まりました。
長年培ってきた栽培技術と、大山山麓の新鮮な空気、水、黒ボク土壌で育まれたブロッコリーは、柔らかさと甘みが特徴で、茎まで食べられます。
生産者は夜が明けないうちから収穫作業を行い、鮮度の高いうちに出荷します。
新鮮さを保つためには、植物の呼吸が緩やかな気温の低いうちに、ヘッドライトをつけた生産者が丁寧に収穫していきます。
平成に入って、地元では大山ブロッコリーのブランド強化のため、出荷形態を縦詰めから横詰めに変更し、全国に先駆けた葉付出荷を行い、産地表示が義務化されていない時代に外国産との差別化を行いました。
【地域団体商標】
商標登録第5503402号
登録日:平成24年(2012)6月29日
出願番号:商願2009-99423
出願日:平成21年(2009)12月22日
商標:大山ブロッコリー
権利者:鳥取西部農業協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第31類:鳥取県西伯郡大山町及びその周辺の大山山麓(鳥取県西伯郡日吉津村・南部町・伯耆町、同県日野郡日南町・日野町・江府町、同県米子市及び同県境港市)で生産されたブロッコリー
ブロッコリーを最初に葉付きで売り出したのは、大山ブロッコリー。2010年(平成22年)からは、他産地に先駆けて全生産者がGAP(農業生産工程管理)手法を採用し、各農場で、より安全性の高い方法を選択して農作業を実践しています。
そして、2011年(平成23年)には、大山ブロッコリーから新ブランド「きらきらみどり」が誕生しました。
「きらきらみどり」は、大山ブロッコリーの中でも、県知事の認可を受けたエコファーマー(土づくり・化学肥料の低減を一体的に行う計画を立てた農業者)によって、化学肥料を通常栽培より約70%も減らして栽培されたブロッコリーです。
さらに、収穫前の検査で硝酸イオン値(苦味・えぐみ)をチェックし、基準をクリアしたものだけが「きらきらみどり」として出荷されます。
石州瓦(島根県)
山陰地方では、赤い屋根の町並みや集落を山陰地方では至るところで見ることができ、山陰の家の特徴といえば、この赤瓦です。
この色は、同じ島根県の出雲地方で産出される含鉄土石「来待石」を釉薬に使用することに起因し、独特の赤褐色で知られる石州瓦は、三州瓦・淡路瓦と並び、粘土瓦の日本三大産地の瓦です。
島根県西部の石見地方で発達した、石州瓦の歴史は、江戸時代初期にまで遡ります。
伊勢の国・松坂城より、浜田藩初代城主が浜田に入り、摂津国より瓦師を連れてきて瓦を造らせ、築城したことに始まります。
石州瓦は、江戸時代初めに誕生し、江津市の都野津地区を中心に、大田市、浜田市、益田市などでも生産が行われています。全国第2位の生産量を有する島根県石見地方の地場産業です。
石州瓦は、赤褐色のいわゆる赤瓦が代表的で、土を1200度以上の高温で焼成する製法で、硬くて丈夫な上、寒さや塩害に強く、水を通しにくいため、日本海側の豪雪地帯や北海道などの寒冷地方でシェアが高く、現在では年間約2億枚が生産されています。釉薬瓦では全国シェアの約20%を生産しています。
「石州モノは、凍てに強く、水を通さない。」「とにかく固くて丈夫な瓦』」と、昔から瓦職人の間で伝えられてきました。
2007年(平成19年)に世界遺産登録された石見銀山遺跡周辺には、石州赤瓦の町並みが残るなど、石州瓦が一層注目されるようになりました。
【地域団体商標】
商標登録第5030596号
登録日:平成19年(2007)3月9日
出願番号:商願2006-47708
出願日:平成18年(2006)5月11日
商標:石州瓦
権利者:石州瓦工業組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第19類:島根県石見地方産の粘土
組合では、同じ原料を用い、一定以上の温度で焼成することで、優れた品質性能を持つ石州瓦を生産しています。
石州瓦の知名度を生かして、床・壁タイルや食器用の瓦の開発など、新しいジャンルの商品開発も行っています。
府中家具(広島県)
府中市は広島県東部の内陸部に位置しており、300年以上前の江戸時代から、今では府中家具として有名になった箪笥づくりが始まりました。
府中家具の産地は、古代国府(備後国府)があった地域一帯で、古代より山陽道は、この地から三原へ抜けるルートであったといわれます。その後には石見銀山から笠岡を結ぶ石州銀山道が整備され、府中は福山城下郊外に位置する物資の中継地として栄えました。
江戸時代から始まった手工業が、府中においては備後絣などの繊維産業、備後葉と呼ばれたタバコ産業、味噌などの醸造業、そして長持や建具などの指物(木工業)が発達し、近代からは織物・機械・金属加工業、家具製造が発達し、府中は内陸の工業地域として発展しています。
また、岡山と広島の県境付近一帯は、有数の桐の産地であり、府中市は桐の一大加工品産地として、府中で桐箪笥や桐細工、その南の福山では福山家具、松永で松永家具や松永下駄が生まれました。大正時代には、家具の需要が急増し、職人の数も増えて家具産地が形成されました。
戦後、府中家具は婚礼家具セットを開発し、高度経済成長の時代には高級品へ需要が高まり、高級な婚礼家具がヒットし、府中家具は飛躍的な発展を遂げました。
現在、府中家具工業協同組合では時代のニーズに合わせ、木彫を生かした婚礼家具・タンス、さらにはリビングやダイニング、キッチンの家具の開発、生産などを中心に製品を製造しています。
1987年(昭和62年)には、カンナとノミをモチーフにした図形商標の登録を行い、府中家具工業協同組合加盟企業のみが使用可能な商標として、商品にラベルシールを付したり、家具に焼き印で表示するなどして、府中家具のブランド化を行い、粗悪品や模倣品を排除してきました。
【地域団体商標】
商標登録第5030831号
登録日:平成19年(2007)3月9日
出願番号:商願2006-59360
出願日:平成18年(2006)6月12日
商標:府中家具
権利者:府中家具工業協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第20類:広島県府中市で生産された家具
地域団体商標の登録後は、ブランド展開として、国内での生産販売にとどまらず、海外への展開に向け、海外でのショールームの展示や販売をしています。JAPANブランド育成支援事業にも採択され、スウェーデンのストックホルムでの展示会や、ドイツのケルンメッセへの出品をするなど、ヨーロッパを中心に海外への進出、市場開拓にも取り組んでいます。
岡山白桃(岡山県)
岡山白桃は、岡山を代表する果物のブランドです。
岡山県では他にも、マスカットなどのブドウや、梨などの果物の生産が盛んです。
岡山の桃は、白桃系品種においては日本一の生産量を誇ります。
美しく輝くような者の果実1つ1つ袋を掛け、丁寧に育てられた白桃は、古くからブドウなどとともに贈答用の高級果実として珍重されてきました。
清水白桃が有名ですが、加納岩白桃、白鳳、白麗、瀬戸内白桃などの多彩な品種があります。7月下旬から8月にかけてが、桃の収穫の最盛期です。
岡山白桃の全国的な認知度を一層向上させ、高品質の桃を安定生産し、ブランド強化を図るため、地域団体商標の登録をしました。
【地域団体商標】
商標登録第5031193号
登録日:平成19年(2007)3月9日
出願番号:商願2006-47631
出願日:平成18年(2006)5月24日
商標:岡山白桃
権利者:全国農業協同組合連合会
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第31類:岡山県産の白桃
商標名の使用を希望する業者に対しては、認可した業者にのみ使用許諾書を発行し、桃の外観や糖度の基準を設けています。「岡山白桃」を使用した商品については、果実のみならず、加工品の開発にも力を入れ、PRとブランド力の強化に努めています。
千屋牛(岡山県)
岡山県新見市にある阿新(あしん)農業協同組合には、地域を代表する特産品として、江戸時代から継承する「千屋牛」があります。また、ブドウ(ピオーネ)、トマト(桃太郎)、米などと、豊かな自然環境に恵まれた多くの特産品があります。
和牛のふるさと・新見で生まれた千屋牛は、日本最古の蔓牛「竹の谷蔓」の系統をひく優秀な黒毛和種です。 豊かな自然と天候に恵まれ、肉用牛の盛んな岡山県内でも有数の優良肉質の和牛です。
「千屋牛」は、新見市内で繁殖・肥育一貫生産されたもの、または岡山県下で生産された子牛を導入し、新見市内で約18か月間以上肥育されたものと決められています。
千屋牛の飼育には、国産の稲わらを与えています。健康で良質な牛の育成のために特に大切なのは、授乳期の飼育です。
すべての千屋牛は、出生年月日、性別、種別、母牛、生産地、飼養地などの生産履歴を明らかにしています。牛の情報が、流通の段階はもとより消費者に正確に届けられ、安心できる供給体制を構築しています。。
新見市は、合併前の各地域においては、その地域名を冠した地域牛の名称が使用されていました。全国有数の和牛のルーツでありながら、ブランド牛の保護が十分ではなく、2005年(平成17年)の市町村合併に伴い、和牛の呼び名を日本最古の系統和牛である「千屋牛」に統一し、地域ブランドとして和牛振興を図ることになりました。
【地域団体商標】
商標登録第5054531号
登録日:平成19年(2007)6月15日
出願番号:商願2006-47537
出願日:平成18年(2006)5月24日
商標:千屋牛
権利者:阿新農業協同組合
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第29類:岡山県新見市千屋地区を中心に肥育された牛肉
阿新農業協同組合は、出願以前から「千屋牛」の名称を使用しており、ある程度の知名度は獲得していました。
こうした特産品をより多くの人に知ってもらい、地域活性化につなげるため、農産物直売所やアンテナショップの展開、情報発信にも力を入れています。