「青木功」の文字は、出願人の氏名をあらわすものであるところ、これと同一氏名の他人多数が出願以前より所在し、その他人の承諾を得ていないものと認められるから、商標法4条1項8号に該当するとされた事例
【種別】拒絶査定不服の審決
【審判番号】不服昭和52-17348
【事案】
本願商標は、「青木功」の文字を横書きしてなり、第24類「運動具、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法第4条第1項第8号
【審決における判断】
本願商標は、「青木功」の文字を書してなるものであって、出願人の氏名をあらわすものであるところ、これと同一氏名の他人多数が、本願商標出願以前より所在することは、東京都における電話番号簿に徴しても明らかであり、本願登録出願人はその他人の承諾を得ていないものと認められる。
したがって、本願商標は前述のごとく他人の氏名でもある「青木功」の文字を書してなる商標であって、かつ、当該他人の承諾を得ていないものであるから、本願商標は、商標法4条1項8号に該当する。
「CHANEL DE BEAUTE」の文字は、他人の名称「CHANEL」を含むものであり、その承諾を得ていると認められないとされた事例
【種別】無効審判の審決
【審判番号】無効昭和44-9018
【事案】
本件商標は、「CHANEL DE BEAUTE」(「L」と「D」及び「E」と「B」の間は少しあけてある)の欧文字を書してなり、第16類「テープ、リボン、その他本類に属する商品」を指定商品とするものである。
【拒絶理由】
商標法4条1項8号
【審決における判断】
請求人会社「CHANEL」(シャネル)の名称は、香水その他の化粧品、被服その他の服飾品などの商品を通じて我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものである。
一方、本件商標は構成前記のとおりであるところ、そのうち語頭部に表された「CHANEL」の文字は、請求人の名称として広く認識されている「CHANEL」と一致しているばかりでなく、全体の構成文字は14文字と比較的多いものであり、しかも、何らの語義を有しない造語とみられる「CHANEL」の文字と、美の、美しいを意味する「DE BEAUTE」の文字とが結合された結果、一体として親しまれた特定の観念を生じ、常に一体不可分にのみ称呼、観念しなければならない格別の事情も認め難いものである。
してみれば、一般世人がこれに接した場合、請求人の名称として広く認識されている「CHANEL」の文字部分が「DE BEAUTE」に比較して圧倒的顕著に印象づけられるものといわなければならない。
そうとすれば、本件商標は他人の名称である「CHANEL」の文字を含むものであり、かつ、その承諾を得ているものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項8号に該当する。